文楽公演「仮名手本忠臣蔵」

2012/11/11 Sun (No.894)

 文楽11月公演に行ってきました。今回は「仮名手本忠臣蔵」の通し狂言です。文楽の公演形態には2通りのものがあり、いくつかの狂言(演目)のハイライトに当たる段だけをアラカルトで集めた「見取り」と、ひとつの狂言の全段を連続して上演する「通し」とがあります。多くの文楽公演は「見取り」でおこなわれ、「通し」の上演は時間もかかり演者にも負担が大きいので、あまり行われていません。

 今回は「通し」での「仮名手本忠臣蔵」の上演です。ふだんの「見取り」の公演が午前11時から午後8時までを2部に分けて行われるのに対して、今回は午前10時半から午後9時までと長丁場の公演です。しかし今回はいつもと違って客の入りが多いです。たいていは、年配の女性が多いのですが、男性や若い人も多かったです。橋下効果かも知れません。

 わたしは、午後4時半からの「七段目」以降の段を見てきました。「七段目」以降でよく上演されるのは、「祇園一力茶屋の段」と「山科閑居の段」です。わたしにとって、今回一番面白かったのは、「祇園一力茶屋の段」でした。由良助は、敵討ちを悟られないため毎日遊びほうけています。一力茶屋で酔っ払って遊ぶ、豊竹咲大夫の由良助は、品格がありながらつやがあって伸びやかに感じました。そんなとき、由良助の息子力弥が由良助の妻からの大事な手紙を持ってきました。まさに読もうとしたとき、かつての同僚で、今は敵の高師直の密偵となっている斧九太夫が声をかけ、一緒に酒を飲み始めます。

 そんななか、床本にはない「なぞかけ」です。ここが大阪らしい。「文楽の予算とかけて」「庭の手水鉢」と解きます。してそのこころは、「凍結されると困ります」との掛け合いです。客席からはもちろん、やんやの拍手です。

 そのあと、由良助が読む大事の手紙を、二階に佇む遊女おかるや、縁の下に忍ぶ九大夫にに盗み見られてしまいます。由良助が口封じのためにおかるを請け出そうと、遊郭の亭主のもとに行くのと入れ替わりに、おかるの兄寺岡平右衛門があらわれ、おかるの家族の顛末を語ります。すは、おかるの自害というところで由良助があらわれ、おかるは命を助けられるものの、九太夫はおかるに刺し殺され、おかるの兄の足軽寺岡平右衛門は、願いどおり、敵討ちのメンバーになることができました。

 文楽では一段だけを鑑賞できる幕見券も発売されています。たとえばこの「祇園一力茶屋の段」だけの鑑賞だと1000円です。一幕1時間半の公演なので、映画よりお得かもしれません。観劇当日午前9時45分からの発売です。11月公演は11月25日までおこなわれています。
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進路ルーム

Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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