貸与型奨学金に対する進路指導教諭の考え

2012/10/25 Thu (No.876)

 「大學新聞」10月10日号に、日本学生支援機構の奨学金について、全国の高校の進路指導担当教諭はどう考えているか、興味深い記事がありました。

 学生支援機構の調査では2010年11月時点で昼間部大学生のの50.7%が支援機構の奨学金を利用しており、2010年度と比べて7.4%も利用者が増加しているそうです。また、国税庁の「民間給与実態統計調査結果」によると、民間企業に働く労働者が、2011年度一年間に受け取った給与の平均は409万円で、ピーク時の1997年と比較すると58万3千円の減少となっているとのことです。

 大学の学費は、文科系で年90万円、理科系で年140万円程度なので、それをまかなうために、月額8万円の奨学金を4年間借りたとして、返済額は月額約2万円、それを20年にわたって返し続けなければなりません。それができるのか、将来の雇用情勢とからんで、進路指導担当教諭の意見は分かれます。

 「大學新聞」が、「貸与型奨学金は、返済が不安なので、生徒に推薦できないか」を問うたところ、回答は、「どちらでもない(40.5%)」が最も多く、「推薦できる(35.5%)」、「推薦できない(23.6%)」と続きます。わたしも返済に不安を覚えるほうですが、どちらかというと「推薦できる」の立場になります。学資が不足するので大学に進学できないというのは、理不尽に感じるからです。

 「推薦できない」と回答した理由で多かった(複数回答可)のは、「長期間返済し続けるのが困難だから(50.9%)」「大学卒業後、就職できるかどうか不安だから(49.4%)」となっています。この不安ももっともなことです。大学はいま二極分化しています。毎年、募集定員を充足できず、何とか学生をかき集めようとしている大学に、奨学金を利用して進学しても、卒業後の就職が保障されるわけではありません。奨学金は、学生の将来に寄与することなく、大学の経営を助けるものとなってしまいます。奨学金を利用して進学するのであれば、進学するに値する大学を選ぶべきだと思います。

 また学費や奨学金に対して、「大學新聞」が自由回答を求めたところ、「学費をさらに下げるべきだ」「国や公的機関がいま以上に学費を負担すべき」「貸与型ではなく給付型にしてほしい」など多くの意見が寄せられたそうです。わたしは、成績上位者に対して、大学独自の給付型奨学金を拡大し、大学進学と大学での勉強に対するインセンティブを整備していってほしいと思っています。
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Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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