中学生が教師を評価するということ

2012/08/27 Mon (No.814)

 高等学校では、授業アンケートは生徒が回答することになっていますが、中学校では、生徒と保護者との双方が回答するようになっています。評価項目も高校とは違い、「興味・関心・意欲の向上」「学習内容の習得」「個の状況に応じた支援」「望ましい学習集団の育成」「児童・生徒への適切な評価」の5点です。

 中学校で、生徒に教師の評価をさせ、それを給与などの人事評価に反映することは高校以上に問題を含むものです。まず中学生に客観的に物事を判断する能力が備わっているのか、疑わしいと思います。自分が中学生だったときのことを思い浮かべてください。教師としての努力や力量とは関係なく、教師に対しては「好き」「嫌い」の感情的側面のほうが強かったのではないでしょうか。中学生は一番情緒的に不安定な年代です。ちょっとしたことで感情的になり、長い間かけて築いてきた信頼が崩れてしまいます。親に対して反抗期であるように、学校に対しても教師に対しても反抗期なのです。たとえば、「話が長いからキライだ」とか「デブだからキライだ」とか、教師の責に帰せられないことがらを、教師の能力に結びつけ、悪意で教師を評価することもあります。クラスで反抗的な生徒集団が、「オレ、お前のメガネうっといし、お前のことキライやから、全部1つけといたるわ」ということも十分考えられます。中学校の先生なら、生徒の顔が思い浮かぶでしょう。金髪・ピアス・喫煙・授業妨害・徘徊・暴言・暴力、そう、その生徒です。

 中学生はまだ個が確立していないので、周りの環境にも敏感に影響されます。クラスで影響力を持つ生徒が、教師に反抗しだすと、自分も取り残されないように教師バッシングに加担する。「先生は好きな子には優しいけど、騒いでる子にはきびしいです。こんな先生は早く辞めさせてください。」こんな評価が普段おとなしい生徒から寄せられると、どう思いますか。まさしく教師いじめの構図です。まじめな先生ほど深く傷つき、学校を去っていきます。

 クラスが荒れるのは、教師の教育力とは関係がありません。40人も詰め込まれた思春期の生徒の微妙なバランスの上にクラスは成り立っています。クラスを紊す生徒がでてくると、穴をうがつようにクラスは崩れていきます。崩れてしまうと、いかにベテランの先生が収束しようとしてもうまくいきません。崩壊したクラスでは、教師への評価も、学力も高いはずがありません。そのクラスを担当する教師も、そのクラスの生徒も、哀れな犠牲者です。教育委員会は、「人事評価にあたっては、アンケート結果だけにとらわれず、子供たちの学力の変化など、客観的なデータと照らし合わせる(産経新聞)」とのことですが、学力の不振が余計に教師を追いつめる原因となります。

 義務教育では、教師が生徒を評価育成するのであって、生徒が教師を評価育成するのではありません。教師が誇りと自信を持って働けるように配慮するのが、教育行政の役割でしょう。大阪の教員の首を絞め、ますます魅力のない職業にしたいようです。
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進路ルーム

Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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