学校間格差と授業アンケート

2012/08/25 Sat (No.812)

 授業アンケートそのものは、必要なことであると思います。生徒が授業に対してどのような思いを抱いているか。どの点が生徒にとって分かりにくく改善すべきポイントであるのか。生徒からのフィードバックは、よりよい授業をおこなうために必要不可欠だとは思います。わたしも、学年の終わりには生徒に授業についての感想を書かせてきました。しかし、それを評価の対象とし、給与に結びつけることには反対です。

 予備校のように、大学合格という目標が定まっており、それに向かってどれだけ効率的な授業ができるかという一律的な価値が明らかな場とは異なり、価値や目標もさまざまで、まったく授業に興味を抱いていない生徒も存在する公立高校です。「授業内容に興味関心を持つことができ」「授業を受けて、知識や技術が身に付いたと感じ」ることは、教師の力量にもよりますが、第一に、生徒の資質にもよるのです。

 学習習慣が確立し学習識欲の高い生徒がいる一方で、学習に興味がなく、アルバイトやゲームに明け暮れる生徒がいます。他に行くところがないから高校に仕方なく来ている生徒もいます。いやいやながら高校生活を送っている生徒は、積極的に高校生活を送っている生徒と比べたとき、教師にネガティブな評価を与えることは自明だといえます。困難な状況の中で授業をおこなっている教師が、レディネスが備わった状況で授業をおこなっている教師より、低い評価がつくことが多いだろうと考えると、それを給与に結びつける不合理性は明らかです。

 学習意欲が高い生徒が多数いる高校では、教師は授業に磨きをかけることに集中でき、生徒のポジティブな反応を見ながら、「教師冥利」に尽きることができます。一方で生活習慣さえ確立していない生徒が多数いる高校では、生徒を学校に来させ、授業中は座席に座らせ、教室にゴミを散らかさせず、ツバをはかせず、中抜けや早退を防ぎ、けんかをさせない。こういった「生活指導」のほうがはるかに大変です。授業内容に興味を抱かせるより、人間として社会生活ができるようにすることのほうが重要です。たとえ、このレベルの生徒であっても「授業」に関心を持つように授業内容を工夫したい、と思っても、「生活指導」や「補導会議」、「家庭訪問」に追われ、1日が40時間くらいないと「教材研究」もままなりません。生活指導に熱心な先生であるほど、授業アンケートをとると、生徒の側に授業を理解しようとする態度が欠如しているにもかかわらず、「お前の授業はさっぱりわかれへん。最低、あほ、バカ、○○」と書かれるのが目に見えています。そして、給与は減額されます。
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Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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