声優希望者に大学は必要か

2012/08/18 Sat (No.805)

 わたしたち高校のとくに進路指導の教師は、できるだけ偏差値の高い大学、すなわち国公立大学や関関同立・産近甲龍への進学を勧めてきました。しかしそのことがはたして生徒のキャリア形成の上で有用であったのか、いろいろな生徒を見るにつけ、疑問に思うこともあります。

 生徒のなかには、パティシエになりたいもの、エステティシャンになりたいもの、声優になりたいもの、ストリートパフォーマーになりたいものなど、必ずしも大学や短大に進学することを必要としない生徒もいます。それらの生徒に対しても、わたしたちは大学に進学することを強く勧めてきたのではないでしょうか。確かに高校生の判断は、即断的なものが多く、単なるあこがれで現実が見えていない場合もあります。

 とりあえず大学に進学しておけば、学歴に基づく採用拒否は回避でき、労働条件は高卒よりよくなり、給与も高くなります。大学4年間で自分について考える余裕もあるかもしれません。そして大学のなかで確かな学びと安定した就職と結びつきやすいのは、やはり有名大学です。わたしたちが有名大学を勧める理由はそこにあります。しかし、それを理由に、みずから望んで不安定な職業を求める生徒たちを大学へと誘導していないでしょうか。彼らにとっては、それは問題の先送りでしかないかもしれません。

 たとえばプロの声優として活動するためには、プロダクションに所属していなければなりません。大学をでても専門学校をでても、直ちにプロダクションに所属できるわけではなく、プロダクション付属の声優養成所のオーディションに合格してやっとその養成所の一員となれます。この段階でやっと声優の卵です。そして養成所で認められて初めてプロダクションに所属し、活動できるようになります。なかには、「預かり」や「特待生」という形で、デビューを後押しする場合もありますが、それは特別な場合です。年齢も若いほど有利だといえます。卵が孵化するのはなかなか大変なのです。ギャラも安く、不安定な職業ですが、どの高校にも声優志望の生徒は複数名存在するようです。彼らにとっては、学歴にはなりませんが、大学や専門学校に進学するより声優養成所に所属したほうが職業的には近道となります。http://seiyu2naru.com/という声優についての有用なサイトがあります。

 とはいいながら、普通の生徒が、声優になりたいといってきたら、「ほんとに覚悟はできている。もう少し考えてみたら」と言ってしまいたくなりますが。
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進路ルーム

Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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