分かりにくい学域、学類

2012/08/09 Thu (No.796)

 学部の内容が分かりにくいという現象は、国公立大学でも起こっています。研究内容や取り組みについては高く評価したいと思うのですが、大阪府立大学の「学域」「学類」の分類もわかりにくいです。単純化していうと、学域は学部、学類は学科に相当します。普通の大学だと学科ごとにカリキュラムが編成されているところが、府立大学では、学類間の垣根を低くして、共通教育科目はもちろん他学類の基礎科目も学修することができるようになっています。すなわち学科領域を超えた学際的な学びを担保するために「学域」「学類」制を採用しています。

 ところが募集単位は学類であるために、受験する時点で自分の学類を決めなければなりません。この学類の内容が高校生にとっては難しいのです。とくに「現代システム学域」は、「知識情報システム学類」、「環境システム学類」、「マネジメント学類」の3学類から構成されており、「マネジメント学類」は経済学科だとすくわかるのですが、あとの2者がくせものです。

 「知識情報システム学類」の概要として「知識科学、情報システム工学などの情報技術について学ぶだけでなく、環境科学、社会科学、経済・経営科学、保健や医療、教育などの社会システム科学に関する専門分野の理解を深め、これらの融合領域において創造性豊かで、自ら課題解決のできる人材を育成していきます」とあります。数学やコンピュータが得意な生徒なら、進学したいと思うことでしょうが、「社会科学や経済・経営科学、保健や医療、教育」の理解と聞いた時に「ちょっと違うかな」と感じる生徒もいるでしょう。

 また「環境システム学類」の概要には、「地球規模で起こっている地球温暖化などの自然環境問題はもちろん、人の集合体である社会構造が抱えている社会環境問題、ストレスなど、人間の内面的な状態に起因する人間環境問題もあります。本学類はこれらの問題解決にアプローチするため、『環境共生科学』『社会共生科学』『人間環境科学』の3つの課程を設置し、これらにより、自然環境科学、社会環境科学、人間環境科学を融合領域として学修」すると書かれています。ややペダンチックな表現です。高校生には、「環境問題には、地球温暖化など自然環境から生じる問題、難民問題など人間の社会環境から生じる問題、ストレスなど個人の置かれた人間環境から生じる問題などがあります。これらを解決するため「環境とともに生きる」「社会とともに生きる」「人間とともに生きる」ことを柱に、この3つを融合した学問を研究します」と翻訳したほうが分かりやすいかもしれません。

 「学域」「学類」に再編され、意気込みはよく分かりますが、高校生には少し表現が難しい。この点、大阪市立大学の学部・学科紹介のほうがストレートで分かりやすいと思います。
関連記事

コメント

Secret



プロフィール

Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

ブログ内検索
カテゴリ
今まで訪問された方
最新記事
月別アーカイブ
RSSリンクの表示