WEB求人普及のもたらすもの

2012/08/06 Mon (No.793)

 先日の進路指導研究会のなかで、就職に関して、昨年までは指定校求人であったものが、今年から公開求人となっている事業所が増加しているという話題がありました。今年から求人票の様式が変更になった際に公開求人に変えたのでしょう。

 指定校求人は事業所と高校との信頼関係に基づいて求人を行います。求人先の高校を指定して、事業所にふさわしい人材の推薦を依頼する一方で、求人倍率は3倍までに制限されています。つながりのある企業に対して、高校側は推薦生徒の人選を行うことにより、事業所にふさわしい生徒を受験させます。高校も事業所も安心して求人活動が行えるわけです。短所としては、求人を出しても、必ずしも事業所の希望通りの受験者が確保されるとは限らないことです。その職種を希望する生徒がいなかったり、高校から推薦された生徒が事業所からみて不適切な場合もあります。

 これに対して、公開求人、とくにWEB求人を行えば、全国から受験者を集めることができます。多くの受験者のなかから、事業所は試験と面接を行ってふさわしい人物を採用すればよいわけです。しかし、公開求人では、高校と事業所とのつながりは希薄になります。一回の試験と一回の面接で採用を決定することになります。

 就職生の多い高校の進路指導の先生の話では、毎年のように就職する事業所の採用担当者がわざわざ学校訪問に来られたにもかかわらず、今年は公開求人となっていた事例もあるそうです。応募させたいのだけれども、公開求人だとリスクが高くて応募を躊躇しているということでした。そのような就職の多い高校での基本は、応募は指定校求人のなかから選ぶことだそうです。そして指定校求人のなかに、どうしても希望の求人がない場合に限って公開求人に応募するそうです。公開求人の高い倍率のなかでは、勝ち残ることが難しいからです。とはいえ、進学校の就職希望者にとってはWEB公開求人は朗報でしょう。

 公開求人、WEB求人への軸足の移動は、事業所にとってはメリットがあるかも知れません。しかし就職希望者が多い場合、就職担当者や就職希望生徒にとっては今まで以上に神経を使うこととなります。競争相手が何人いるのか、どのレベルの競争相手なのか。かつて大卒求人でインターネット化が進んだときに、「内定長者」と「無い内定者」の格差が広がったように、すぐに就職を勝ち取る高校生と、いつまでたっても就職できない高校生に二分化するおそれもあります。
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進路ルーム

Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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