Der bestirnte Himmel

2012/07/31 Tue (No.787)

 夏休みが始まって7月下旬までは、わたしの高校では合宿を実施するクラブも多く、朝、学校に来ると合宿に出かけるバスがよく止まっていました。

 わたしは、最近は合宿を行うクラブの顧問をしたことがなく、長い間合宿について行っていません。しかし若い頃は、8月初めには必ず合宿を行い、生徒達をつれていろいろなところにいきました。今ではインターネットや携帯電話の普及で人気がありませんが、かつては高校生の間で盛んであったアマチュア無線部の顧問だったのです。夏になると交信局数を競う全国コンテストがあり、見晴らしのよい山の上に無線機やアンテナを設置して、テントから、昼夜を徹して、いろんな相手と交信します。車で山頂まで登れるところだといいのですが、そうでない場合は、テント、食料は言うに及ばす、無線機、アンテナ、発電機など山岳部以上の装備を担いで登らなければなりません。文化部ではあっても、このときだけは運動部なみの力が必要です。

 大阪府下の山はもちろん、和歌山県や四国まで出かけたこともあります。夜は当然交信に追われて寝ることはできません。しかし少しテントから離れて、夜空を見上げればそこは満天の星、カントが「つねに新たに高まりくる感嘆と畏敬をもって(mit immer neuer und zunehmender Bewunderung und Ehrfurcht)精神を満たすもの」、すなわち、「わたしの上なる星を散りばめた天空(der bestirnte Himmel über mir)」が輝いているのです。そしてこの星空の下にある電離層で反射しながら、わたしたちの電波は遠くまで届くのです。

 もはやアマチュア無線部をもつ高校は、ほとんどなくなり、パソコンやインターネットの世界となりました。しかし無線機を使った古くさい交信の日々は、わたしにとっても懐かしい思い出です。
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Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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