高校入試に中1の成績は必要か

2012/07/01 Sun (No.758)

 またぞろ、大阪市の市長についての話題です。大阪市の橋下徹市長は29日の会見で、「大阪府内の公立高校の入試について、『中1、中2のがんばりを、今の内申書制度ではなく、府内統一の学習到達度テストで評価するべきだ』と述べ、内申書と入試以外に、中1、中2で新たに行う2回の試験も合否材料とする考えを示した」とのことです。(朝日新聞 6月30日朝刊)。

 まず第一に、大阪市長が、なぜ大阪府の公立高校の入試システムに介入できるのか不思議です。大阪府には自分の意のままになる首長がいるのでしょうか。

 そして、「現行制度では、府立高全日制普通科の大半が、内申書と入学試験の二つを合否の判定材料にしている。これに対し、橋下市長は内申書だけでは公平な評価が難しいと 指摘。府内統一のテストをすることで学力を公平な尺度で測り、新たに合否の判断材料に加えるべきだとした。内申書については 『クラブ活動や学級活動、生活態度などを評価すればよい』と述べた」と続きます。府教委は「初めて聞く構想」と驚いています。(朝日新聞)

 思いつきの入試改革で振り回されるのは、中学生と中学および高校の現場です。現在の内申書は中3の時の各教科の成績が5段階で記載されています。合否判定にはその内申書の点数と学力検査の点数との総合点を利用します。それぞれ客観的な基準があります。

 本来入試では、試験を実施する時点での学力を問うべきであって、内申を加味するとしても、少なくとも最終学年になって本人がどれだけ努力したかを評価するだけでよいものです。中1と中2のテストの成績を入れれば、中3でのがんばりが正当に評価されなくなります。そのため、中3でがんばった生徒はますます私立高校に流れるようになります。自分が発案する「学習到達度テスト」をなんとか入試に取り入れたいのでしょうか。

 また内申書で「クラブ活動や学級活動、生活態度などを評価すればよい」といいますが、どのように評価するのか、その客観的基準はどのように担保されるのか、生徒の希望するクラブが中学校にない場合はどうするのか、このような内申書の扱いでは、中学の担任も高校の採点者も評価について頭を悩ますことだと思います。

 2013年度の入試における入試実施方法や入試科目、配点も変更されたばかりです。朝令暮改のアドバルーンはぜひやめていただきたい。公立高校をめざして勉強している中学生が多くいるのです。彼らに不安を与えるような発言はぜひ謹んでいただきたいと思います。
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コメント

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(近畿圏では)大阪だけですよ。中1、中2の成績が入試に反映されないのは。
奈良県も兵庫県も和歌山県も中1、中2時代の成績が受験に影響します。だから生徒が中1、中2と勉強をしっかりするんですねー。大阪の子供たちだけですよ、勉強は中3からでいい、なんて思ってるのは。だから全国ランク46位とかになるんですよ。全体的に学力が低すぎるし、意識が低すぎるんですよね。

私も管理者様に賛同します

中学生・高校生の保護者です。上の子の時は高校授業料無償化で公立の倍率が跳ね上がり、下の子の時は学区は全廃になる1年目で、絶対評価導入と府内統一テストも検討されているとか。。。勝手にどんどん変えられていく行政のやり方は子ども達にとって迷惑以外の何物でもないと大変憤慨しています。迷える大阪の保護者です。勝手にすみませんが、大変頼りにさせて戴いていますので、今後も入試や進路についての情報を宜しくお願い致します。

すみません

二番目に書き込んだものです。
四番目の方の指摘の通りです。
すみませんでした。
私の考えは三番目の方に似ています。今の過剰とも言えるエリート志向から中一中二の生活が受験色の濃いものになってしまうと懸念されるからです。

ただ、すぐさま否定していいのでしょうか?裏目を克服する案があるかもしれません。
内容について偏向があるより、橋下を否定すると言うものになってはならないと思うのです。

これも私の偏向であり別の意見もあるかと思います。
管理者様すみませんでした。
内容はいつも面白く読ませて頂いております。

ハンドルネームくらいつけてコメントされたらどうでしょうか。減るもんでもなし、コメントする際の基本的なエチケットなはずです。

それと、「偏った考え方」だと批判されますが、意識するとしないとにかかわらず、ぼくたちは自分の色眼鏡を通して外界を認識しているわけです。違いますか。つまり偏向はだれしも避けられないってことです。偏向だと批判する貴方ももちろんその例外じゃありません。したがって、問題は偏向しているかどうかじゃなくて、自分の偏向をどこまで自覚しているかです。

そのことで、竹内好の「偏見は楽しいが無知では困る」の一文を思い出したし、「自分は公正であることを約束できるが、偏向していないことは約束できない」って、西洋の偉い人の言葉(名前は失念した)を思い出しました。

橋下さんの恣意的な教育介入に怒り

中学生の娘を持つ保護者です。
いつも大切な情報、適切なコメント、とても参考になり感謝しています。毎日、楽しみに拝読させていただいています。

わたしも管理者様のおっしゃるとおりだと思います。以前からそうですが、橋下さんの恣意的な教育介入はひどすぎます。今回の発言を聞いて、もういい加減にして欲しいという気持ちです。

橋下さんがやろうとしていることは、決して子供たちのためになるとは思いません。1,2年は部活で頑張って、3年生で集中して入試に備える、ということができなくなります。1、2年から部活もそこそこにして、学力テストに追われることが子供たちのためになるとは、とても思えません。
 もちろん、1,2年から真面目に勉強することは大切ですが、その成果は3年の実力テストや入試に当然反映されます。1,2年からの努力は決して無駄になりません。ですから、わざわざ、1、2年の学力テストを入試に反映させる必要はないと思います。逆に、そのような制度にしてしまったら、途中から頑張ろうとする子供たちのやる気を削ぐ結果になります。1,2年の時、一度悪い点を取ったら、高校入試でマイナスになるなんていうのはどう考えても不合理です。

 それに、途中に他府県から大阪府の中学に転校してきて、学力テスト受けていない子の評価はどうするのでしょうか。

 管理者様がおっしゃっているように、橋下さんは大阪市長に過ぎないのに、確かに出すぎた発言ですね。自分は大阪府知事より偉いと思っているのでしょう。傲慢ですね。もし、こんな、まったくの思いつきの制度を大阪府が取り入れたら大阪府は全国からもの笑いにされるのでは。しかし、そんなことより、愚かな思いつきに振り回される先生や子供たちが一番の犠牲者です。

 まず第一に、大阪市長が、なぜ大阪府の公立高校の入試システムに介入できるのか不思議です。大阪府には自分の意のままになる首長がいるのでしょうか。

いままで貴方の記事は大変参考にさせて頂いてましたが、上記表現には、幻滅しました。そんな偏った考え方を持たれているなら、常に正しい答えはだせませんよ。

え?
一、二年から頑張ってる生徒は評価に値しないの?
そもそも内申なんて学校間格差が半端ないのに。
橋下憎しが前面に出ててみっともない。
今までのままでいいと本気で思ってる教師がいたら、ホント世も末。犠牲になった生徒たちが浮かばれないわ。


プロフィール

Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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