教育基本条例案への保護者の思い

2011/11/24 Thu (No.529)

 昨日、一昨日と「大阪府教育基本条例案」の問題点について述べてきました。本当はもっと進路についてのお話もしたいと思っています。しかし、どうしてもこの「教育基本条例案」を肯定することができません。今日は、生徒たちの保護者であるPTAの方々がどのようにこの条例案を考えているかをご紹介したいと思います。教育基本条例案は次のURLでご覧になれます。
http://www.pref.osaka.jp/gikai_giji/2309gian/100503outlines.html

 まず10月20日の毎日新聞には、府立高等学校PTA協議会が大阪府教育条例の見直しを求める嘆願書を橋下知事や浅田均議長に提出したという記事が載っています。「維新は『府民の多くが条例案を望んでいる』として条例案提出に踏み切ったが、保護者から思わぬ『待った』がかかった」とあります。嘆願書には、条例案の文面について「『非常に強制力のある文言に思え、不快にさせられた』」、「学校運営への積極的な参加を保護者に求めた規定について『不景気で家族を守ることが至難の時、通勤時間帯に計画的に学校へ通えるのか』」という疑問の声や「『橋下知事の一方向だけが「大阪の教育」と決めてしまうのは怖い』」と警戒心をあらわにしています。(「 」の中は前傾記事から引用)

 さて、大阪府の経済は非常に低迷しています。保護者にとっても不景気で自分のことで精一杯なのに、ましてや子どもが2.3人いたり、介護を必要とする父母がいるなかで、「部活動をはじめとする学校運営に参加するなど、主体的に積極的な役割を果たすよう努めなければならない」ことは不可能に近いと思います。そして「保護者自身が、部活動に協力できない場合を考えますと保護者同士の格差が生じトラブルにも発展して」いくかもしれません。また、家庭内での教育責任(第10条)については「他人とうまくコミュニケーションのとれない子どもたち」の「ちょったした問題行動でさえ、親が責められていく」ことも考えられます。「子どもの持っている色々な芽を柔軟に見つけはぐくみ育てることが最も大事な教育」だとわたしも思います。

 保護者の方が心配されているように、この条例が通ったら、「こんなんやったら、あほらしゅうて、ウチの子を大阪府立高校に行かせるのはやめとこか」「部活動に入らさんとこか」となってしまうかもしれません。138の高校のPTAでつくる協議会が、保護者の目線で作成した嘆願書です。心して聞きたいと思います。

 全文を下に載せておきます。ただし、インターネット上での公開ですので、公人ではないPTA協議会役員の氏名については伏せさせていただきます。

                              平成23年10月19日
大阪維新の会 様
      大阪府立高等学校PTA協議会会長・副会長・書記・会計・幹事・会計監査
嘆願書
先日来マスコミ報道で大阪の「教育の場」が慌ただしく報じられております。
「大阪維新の会 大阪府議会議員団」の「教育基本条例案」についてです。
 私たちも大阪の子どもを府立の学校に通わす保護者として、この条例案を何度も何度も読み返してきました。
この条例案を読めば読むほどに条例案の改善・撤廃をお願いしたく府高PTAの役員総意の元で作成しました。当然、 私たちは政治について意見を言うつもりはありません。
 ただ、政治の道具であってはならない「教育の場」です。
 子ども達が大人へと成長(自立)していくことはやがて「大阪の未来を豊かに」することとなります。どうか、こころ暖かく考え接し見守っていただきたいと思います。
 多くの人たちによってまとめ作成しました嘆願書です。
 よろしくお取り計らいのほどお願いいたします。
1. はじめに、私たちの生活上で聞き慣れない、言いなれない言葉があります「努めなければならない」この言葉をいろいろな方々に解説を尋ね聞きました。
 非常に強制力のある文言のように思います。不快な気持ちにさせられました。
 「児童生徒の保護者も、部活動を初めとする学校運営に参加するなど、主体的に積極的な役割を果たすよう努めなければならない。」
 当然、愛する子どもたちです。少しでも子どもたちと接したいと思うのは私たちだけでは無いと思います。ただいくつかの問題点があります。
 ご存じのように経済が今までにない程の不景気で家族を守ることが至難の時に、まして変動しての勤務時間帯の中どうして計画的に学校に通うことが出来ますか?部活は週1回?子どもが2人・3人いたら?介護を必要とする家は?
(わが子可愛さで参加した場合)ここでは運動部について集約してお話しします。
(1)子ども(生徒)は高校生です。運動部についてそれ相応に過激で高等なレベルです。指導?技術?責任?教育?保護者はどの部分に参加?主体的に積極的に何の役割を努めなければならないのかお教えください。
(2)(1)の指導・技術は自分の経験等で事が成せるかもしれません。ただし若さの残っている体力のある保護者に限られます。
(3)現在、府高P事務局(138校)から毎日のように部活での怪我の報告があります。
単なる怪我(一週間完治)程度ならよしとしても、補償問題・裁判沙汰等はあり得ないのでしょうか? この時の責任は・・?
(4)部活動は学校教育の一環として認識しておりました。大人への成長していく中で共に目的意識を持ち協調性を持っていく中での部活動は楽しい青春時代を送るなかでも勉強・友だち・と同じく大事なことと認識しています。

(第10条)の文面
2. 「保護者は、学校教育の前提として、家庭において、児童生徒に対し、生活のために必要な社会常識及び基本的生活習慣を身に付けさせる教育を行わなければならない。」
 学校に通わせる前に社会常識?もしくは基本的生活習慣を? 私たちの高校生時代は悪さもし、色々な方々から叱咤激励され今日があります。でも、それは私たち以外にもたくさんおられると思います。(花壇に種をまき直ぐに葉・花を咲かせることが出来る花は優等生? 時間がかかったり結果がおぼつかないのが劣等生?)
 先日ある学校の特別支援教育の状況を見てきました。発達障がい、アスペルガー症候群、ADHD、他人とうまくコミュニケーションのとれない子どもたちどうしたらよいのでしょう?ちょっとした問題行動でさえ、親が責められていくのでは・・。
 私達は子どもの持っている色々な芽を柔軟にみつけ育(はぐく)み育(そだ)てることが最も大事な教育と思います。
 保護者と学校の関わりは、非常に大事と考えますが、でもこうなると、私たちの仕事・ここの家庭の事情がどうしたら良いと?私たちの年齢の中には親の介護の方も数多くおられます。また、保護者自身が、部活動に協力出来ない場合を考えますと保護者同士の格差が生じトラブルに発展していきます。他にはPTA予算を通しての外部団体に委託するという方法もあります。当然相当な高額になっていきます。
 大阪は庶民の町です。いろいろな意見があるからこそ「おおさか魂が栄えた町」と考えます。橋下知事の一方向だけが『大阪の教育』と決めてしまうことはこわいことです。
 以上、保護者にとってこの条例が通ったら、どんなことになってしまうか。「こんなんやったら、あほらしゅうて、ウチの子を大阪府立高校に行かせるのはやめとこか」「部活動に入らさんとこか」といった気分が強くなっていくことが多々見られると心配です。
 未来の大阪の教育をキチンと選択して子どもたちの可能性を広げていっていただきたいと強く強く思います。
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プロフィール

Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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