学びの支援から学びの本丸へ

2011/10/22 Sat (No.496)

 昨日のべた読売新聞の企画は、毎年7月に少しずつ視点を変えながら続けられます。そして2010年には、いよいよ、読売新聞教育取材班『大学の実力2011』(中央公論新社)という単行本となって発行されます。この本には、2009年、2010年のアンケート結果だけではなく、「学習支援」「教育力」などといったテーマについて、読売新聞の記者や大学関係者による記事が載せられています。学力や常識力の低下した学生をさまざまな機会を捉えて教育しなおす、ということが大学に求められるようになってきており、それらを実践するのが、真の大学力であるという論点です。同じような視点は、この9月に発売された『大学の実力2012』でも踏襲されています。

 たしかに、学生に寄り添い、勉強の支援をすることは大事だと思います。四則計算がおぼつかない生徒でも大学に進学できる時代となりました。しかし、わたしには、周りの大人が学生を幼稚園児のように見守り、「学習支援センター」で中学や高校までの英語や数学を教えるとなると、少し違和感を覚えます。「寄り添う教育」も大事かもしれませんが、大学には「大学の教育」をしていただきたいと思うのです。データそのものは非常に有用ですが、『大学の実力』の取っているスタンスとわたし自身のスタンスとの間に少しずつ隔たりを感じてきました。

 生徒がなぜ大学に進学するか、どういった大学に進学するか、その動機はさまざまです。全国の多くの生徒は、「専門知識や技術の習得」「教養や視野の拡大」「就職に有利」などの理由をあげます。そして大学を選択する基準に、「学部・学科・コースの内容」「学校のレベル」「資格」「就職」などをあげます。

 わたしが進路指導室にいて、そこにやってくる生徒をみているからかもしれませんが、大学に進学する生徒は、高校より発展した内容を勉強したいと考えています。大学が学生に(おんぶにだっこで)何をかまってくれるのかを問うより、まず自分が何をやりたいのかを、そしてその大学で何ができるのかを考えるように、わたしは生徒に問いかけます。大学案内やシラバスを読む。合同進学説明会やオープンキャンパスに参加する。ふだんの大学を見学する。いろいろな観点から大学を知る努力が必要です。

 それぞれの大学でどのような授業がおこなわれているか、何が勉強できるのかを把握するのはたいへんです。まして、毎年のように学部名や学科名が変わり、何らかのバリエーションが追加・削除されていく現状では、なおさらです。生徒にとってはますます不可解となります。「学びの支援」も大切ですが、「学びの本丸」をもっと可視的にした比較資料が公開されることを望みます。
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進路ルーム

Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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