企業からみたフリーター

2010/08/04 Wed (No.40)

 企業からみたフリーターは、「雇用の調節弁」です。景気がよく人手の欲しいときには、多くのフリーターを雇用し、景気が悪く人手が要らなくなると、解雇します。正社員だと、フリーターのように簡単に解雇する事ができません。

 フリーターから正社員への道は険しいです。『労働経済白書』2005年によると、「フリーターや若年無業者を正社員として採用しますか」という企業への問いに対して、「積極的に正規従業員として採用する」と答えたものが1.4%、「特に区別せず正規従業員として採用する」と答えたものが23.4%、「非正規従業員としてなら採用する」と答えたものが23.3%、「非正規従業員としても採用するつもりはない」と答えたものが41.8%となっています。4割もの企業がそもそもフリーターや無業者の採用を拒否しているのです。

 それでは、実際にフリーターから正社員になれる確率は、どれくらいあるのでしょうか。『国民生活白書』2005年によると、「パート・アルバイト」から「正社員」へ転職できる確率は、22.6%となっています。4.5人に1人しか、「正社員」になることができません。「正社員」から「正社員」へ転職できる確率が、62.5%であることを考えると、実際にもフリーターから正社員への道は厳しいといえます。

 
 履歴書に書く職歴も、腰を据えてやり遂げた仕事もないフリーターは、仕事をしてもいい加減で、責任感に乏しく、いつやめるかわからないので安心して採用できない、と企業は考えています。(下の図を参照 出典 『厚生労働白書』2009年)しかし、有能なフリーターだっている、と反論されるかもしれません。確かに正社員以上に仕事のできるフリーターも大勢います。このような場合、企業はフリーターを正社員に引き上げることもあるでしょう。しかし、それよりも、このまま安い賃金で働かせておいた方が、はるかに企業にとっては利益が上がるのです。

フリーター経験の評価

 かくして、フリーターはなかなかフリーターから脱出できません。若いあいだはともかく、中年になっても給料は上がらないし、若いフリーターに仕事を奪われるし、仕事のやりがいもないし、生活のために長時間労働やかけもち労働を強いられるし、ワーキングプアの一員となっていきます。

 EU諸国では、「同一労働同一賃金」が原則です。そのため賃金は、仕事の内容に応じて支払われています。しかし、日本では、同じ労働に対しても、正社員とフリーターの二重価格制になっています。このことが、賃金面のみならず、意識面でも正社員とフリーターを分断し、ワーキングプアをなくすための社会の変革を難しくしています。

 自分にあった仕事がなかったら、いま無理に就職しなくても、いちどフリーターでもして、就職はあとから考えてみたら、とおっしゃる保護者の方も多いです。しかし、日本の現実はそんなに甘くありません。高校卒業のときに、進学か就職かきちっと進路を決定しておく必要があります。
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Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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