珠玉のヨーロッパ絵画展

2011/04/30 Sat (No.319)

 滋賀県立近代美術館に行ってきました。JR瀬田駅からバスで約10分で、「文化ゾーン」というバス停に着きます。「びわこ文化公園(文化ゾーン)」は、滋賀医科大学や龍谷大学瀬田校舎にも近く、小高い丘を開発した自然公園です。そのなかに美術館と図書館があります。訪れたときには美術館に通じる小道の新緑が美しく、「夕照の庭」とよばれる池泉回遊式の庭園は、京都の寺院の庭を思わせる趣がありました。

 いま滋賀県立近代美術館で開かれている特別展は、17世紀の「バロック」美術の作品と19世紀の肖像画、風景画、風俗画が中心の50点あまりの小さな展覧会で、わたしたちがよく耳にする有名な画家の作品はひとつもありません。滋賀県立近代美術館の展示は、大都市の有名美術館などの展示とは異なって、絵画は大小の展示室の壁面にむき出しで飾られてあります。鑑賞者と作品を仕切る柵やロープはなく間近に寄って、絵画を見ることができます。そして展示室をつなぐ回廊からは、先のすばらしい庭園を眺めることができます。

 展示されているバロック絵画は、ヨーロッパの宗教改革によってルター派が勢いを増していく中で、それに対するカトリック側が、巻き返しを図るために、人々に信仰を深めさせる目的で描かれた、聖書をモチーフとする「宗教画」が中心です。日本でいうなら「仏画」や「来迎図」などにあたる作品です。「宗教画」であっても巨匠が描けば、人々に感銘を与えるマスターピースに仕上がるわけですが、今回の作品は中心となるテーマはよく描けているにしても、周縁部の処理がやや雑な気がしました。とはいえ、当時の宗教界の様子が伝わってくる作品群です。

 19世紀の作品は、まず最初に、まだ写真がなかったころの肖像画。これは今のデジタル写真と同じように、裕福な市民や上流階級の婦人がパトロンであったため、依頼主の求めに応じて若干の修正を行っているようです。それでも絵の中からその人の人となりが浮かんでくるものもあります。風景画は、バルビゾン派の作品を思わすような写実的な作品や印象派に連なるような作品が面白かったです。また風俗画も市井の生活の一こまを切り取ったようで、当時のヨーロッパの生活をうかがい知ることができます。

 巨匠の作品はありませんが、巨匠の周りで活躍した画家たちの作品によって、都市の市民たちの暮らしぶりが伝わってくる興味深い展覧会でした。特別展には、「珠玉のヨーロッパ絵画展」という名前がつけられていますが、少し名前負けをしている気がしました。
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Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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