ザ・コーヴ

2010/07/26 Mon (No.31)

 応募前職場見学が早く終わったので、生徒と別れて、大阪で「ザ・コーヴ」を見てきました。太地の漁民たちの「イルカ漁」を撮影した映画です。上映反対運動があって、上映するのに一騒動あった映画です。

 さて、映画のあらすじです。
往年のアメリカのテレビ番組「わんぱくフリッパー」の調教師であったリック・オバリーが、立場を変え、イルカの救済にのりだします。イルカは、水族館やテーマパークの飼育に適さないといいます。知能が優れており、ストレスを感じて、胃潰瘍になったり、時には、自死するというのです。

 ところで、現在、和歌山県の太地では、「イルカ漁」が行われています。その「イルカ漁」では、若いメスの「ばんどうイルカ」は、水族館やテーマパークに売られ、残りのイルカが食用として殺されます。捕獲されるイルカの数は一年に23000頭。多くのイルカが、立ち入り禁止とされた、人目につかない湾内で、秘密裏に殺戮され、鯨肉として、日本各地のスーパーで販売されているというのです。しかし、このイルカ肉には、生体濃縮の結果、高濃度に水銀が残留し、多いものでは200PPMに及んでいるそうです。映画のラストは、隠しカメラによる捕殺現場の映像です。海が一面、朱に染まります。スタッフの狙いは、「イルカ漁」を暴くことです。そしてその「残忍性」を世界に知らしめることです。

 これは、太地で行われている「イルカ漁」の禁止を訴えるためのプロパガンダ映画です。感情的な描写もありますが、大部分は、事実を追いかけたドキュメンタリー作品です。当然のことながら、400年にわたって、「イルカ漁」が行われてきた太地の歴史と、漁民の生業は考慮されていません。

 日本人でも、「イルカ漁」と聞くと、「残酷」と感じる人が多くなっています。イルカであれ、豚であれ、ともかく屠殺は、殺されるものにとっては、「残酷」なものです。太地の漁民は、いわば引け目を感じながら、漁をしていると思います。ナーバスな状態で、太地の「イルカ漁」は、こっそり行われているのです。それゆえ、この映画は、太地の漁民にとっては、便所で隠れてタバコをすっているところをドキュメントされたかのような、非常に居心地が悪く、感情を逆なでされるような映画だと思います。

 私には、23000頭の根拠が分かりませんでした。「イルカ漁」は、9月に始まるとされ、毎日は、行われてないそうです。映画の最後のシーンで殺されているイルカの数は、30頭くらいと目測しました。毎日30頭でも、一年間で10000頭です。日本でも、鯨肉がそれほど食べられてないことを考えると、23000頭という数字は誇張のようにおもえました。

 とはいえ、非常に興味深いドキュメンタリーでした。「残忍さ」を前面に出して、自己の立場を主張する戦略が見事です。国民性の違いでしょう。嫌悪感を抱く人もいると思います。しかし、どのような立場による映画であっても、上映する自由と権利は保障されなければならないと思います。

 ところで、イルカと鯨は、生物分類上、差がないそうです。成体で、体長4メートルを超える種を鯨と呼び、それ以下のものをイルカと呼び習わすそうです。

 こういう私はというと、居酒屋で懐かしくなって、鯨ベーコンや「おばけ(尻尾の皮を薄切りにしてさらしたもの)」を注文することがあります。最近はでは、ほとんど見かけなくなりましたが、関西のおでん(関東煮)では定番の「ころ(鯨の皮を揚げたもの)」は、ひなびた香りと、もっちりとした噛み応えがあり、私の大好物です。
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プロフィール

Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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