デカルトの4つの規則

2011/02/21 Mon (No.249)

 進学・就職・結婚、この3つは、わたしたちの人生の大きな分岐点です。みなさんは、いま、進学という分岐点に立っています。どの大学に進学しようか、すでに複数校の合格を決めて、どちらか一方を選ばなければならないという人もいると思います。そのとき、非常に有用な考え方をお教えします。

 フランスの17世紀の哲学者にデカルトという人がいます。「われ思う、ゆえにわれあり(Cogito, ergo sum)」と述べた人です。デカルトの主著は『方法序説』ですが、この原題は、『理性を正しく導き、学問において真理を求めるための方法の序説』といいます。すなわち理性を正しく使って真理を導くための方法についてのデカルトの考えが述べられています。

 デカルトは、良識(bon sens)や理性(raison)は、万人に平等に分配されているといいます。なぜなら、自分が他の人より不十分な理性しかもっていないと考える人はおらず、すでに持っている以上の理性を持とうとは思わないからです。にもかかわらず、人々が誤った結論にいたるのは、「理性の使い方」が誤っているからです。ではどのようにすれば、正しく理性を使うことができるのでしょうか。デカルトは、次の4つの規則を守ることで十分であるといいます。その規則とは。

1.明らかに真実であると認められない限り、真実であると受け止めないこと。そしてよく注意して、即断と偏見を避けること。疑うことができないほど、明白にかつはっきりと定義づけられて( clairment et distinctement)、わたしの精神に現れてくるもののほかは、何ものをも判断に取り入れないこと。

2.吟味する問題のそれぞれを、できる限り多くの、そしてその問題を解決するために必要なかぎりの数の、小部分に分割すること。

3.考察を、もっとも単純で最も認識しやすいものから始めて、もっとも複雑で最も認識しにくいものまで、少しずつ段階を踏んで高めていくこと。自然のままでは、順序を持たないものにも、順序を考えながら考察していくこと。

4.何ものも見落とすことがなかったと確信しうるほど、完全な枚挙と全般にわたっての再点検を、あらゆる場合に行うこと。

 たったこれだけの規則を守るだけで、どんなに難しく遠くにあるものにも到達できるとデカルトは考えています。わたしがなぜこんな難しいことを述べるかというと、わたしたちが何か困難な問題に直面したときに、それを解決する大きなヒントがここにあると思うからです。もういちど大学の選択について考えてみましょう。
 
 わたしたちは、どこの大学のどの学部に進学したいのか、迷うことがあります。同じところをぐるぐる回って、結局結論が出ないことも、よくある話です。デカルトの規則に従ってみましょう。まず先入観を捨ててみましょう。世間の評判や教師や親の意見は疑ってみましょう。そして、問題をできるだけ小さく分けてみましょう。すなわち、その学校についての要素である、通学時間、授業料、学部・学科、授業内容、クラブ活動、キャンパス、立地、就職状況、進学状況など、ありとあらゆるものを、小さく細かく分けて、順序をつけます。簡単であまり重要でないものから、複雑で重要なものへと順序をつけて考えてみましょう。人によっては、授業内容より、クラブ活動が重要な場合もあるでしょう。華やかさの方が、まじめさより重要な場合もあるでしょう。ともかく、すべてを書き出してみて、順序づけましょう。そして自分にとってどれが大切なのか、一つ一つ考えてみるのです。すると、自分の考えが整理されてきて、結論が見えてきます。イギリスのベンサムのように、それぞれの部分に点数をつけて考えてもよいでしょう。もちろん最後に、見落としがないか確かめることも必要です。

 物事をまるごと考えず、部分に分ける。これだけでも結論にいたるためのヒントになります。
 
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進路ルーム

Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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