教師の質を高める

2011/01/03 Mon (No.199)

 1月1日の朝日新聞朝刊に「教育」をテーマにした朝日新聞社の全国世論調査結果(有効回答1995人、層化無作為2段抽出法)が載っていました。教育予算を充実させるべきだと考えている人が9割近くにおよび、教育に対する関心が高いのがわかります。

 公立小中学校教育を信頼している人の割合は44%で、信頼していない人の割合の42%と拮抗していますが、小学生の子どもを持つ親では信頼している割合が54%とやや高くなっています。小学校の先生ががんばっておられる様子がうかがえます。また公立の小中学校を良くしていくために必要なことを6つの選択肢のなかから選んだ結果、第一位になったのは「教師の質を高める」65%、ついで「どの学校でも均質な教育を受けられるようにする」39%、「保護者や地域社会が学校運営にもっと関わる」35%とつづきます。

 私語・たち歩き・校内暴力といった荒れる小中学校が多いなかで「均一な教育を受ける」ためには、まず荒れる学校をできる限り少なくすることが必要です。そのために「教師の質を高める」ことが必要なのでしょうが、一度学校が荒れ出したらそれを一人の担任の力で止めることは不可能に近いです。あなたがもし自己主張の強い同い年の40人の子どもの父親であったり、母親であったりした場合を考えてください。2人や3人の自分の子どもでも大変なのに、思春期のまっただ中にあって縄張り争いをしている40人の子どもを一人で支えられるでしょうか。その子どもたちのなかに、学習障碍や情緒障碍を持っている子どもがいるかも知れないことを想像してみてください。

 「教師の質」を高めるためには、まず教師が「心のゆとり」を持つことができる環境が必要です。わたしは、義務教育に携わる先生方は心がおれそうな状況のなかで献身的に働いていると感じています。いかに優秀な先生でもその努力が報われず、生徒や児童や保護者から「無能」呼ばわりされることが続けば、心を病み自分に自信をなくしてしまいます。   

 では「心のゆとり」を持つためには何が必要でしょうか。まずもっと学級規模を小さくすることです。OECD諸国の学級人数の平均が初等教育で21.6人、前期中等教育で23.6人であるのと較べて日本の学級規模は大きすぎます(出典 『図表でみる教育 OECDインディケータ 2010年』)。学級規模が小さくなれば、生徒や児童一人一人に目が届きやすくなり、学級で起こる問題はずいぶんと少なくなります。教師にかかる負担も軽減されます。公立小中学校の教員数をもっと増やさなければなりません。

 次に教師に課されている雑用の量を軽減することです。宿題や連絡帳の点検、数々の会議、研修、報告、家庭との連絡、これらに授業にかける数倍もの時間を費やしています。研修を増やしたからといって教員の資質が向上するとは思えません。それよりも基本であるわかりやすい授業ができるような環境を整備することが大切です。雑用を減らして多くの時間を授業の準備に費やすことができたらもっと充実した授業ができるでしょう。教師が気力・体力ともに充実して授業に当たれたら、生徒や児童もよく授業を理解することができるし、授業中に騒ぐことも減ると思います。生徒や児童も達成感を味わえます。高校でも、会議が立て込むとろくに教材研究もせずに授業に行かねばなりません。同じ事はもっと高い頻度で小中学校に起こっていると考えます。

 よく準備されたわかりやすい授業を少人数に対して行う。これができれば、教育崩壊は今よりずっと減少すると思います。小学校で落ち着いて勉強することができれば、中学校も今より落ち着くでしょう。生徒の学力レベルも向上すると思います。教育は人間としての私たちを形作る根幹です。教育をなおざりにするところでは、なおざりな人間しか育つことはできません。
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Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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