採用試験を遅らせたら

2010/12/04 Sat (No.169)

 きょう12月4日の朝日新聞朝刊に、「遅らせてみたら多様な人材」としてキャノンマーケティングジャパン取締役人事本部長、臼井裕氏の談話が載っていました。キャノンでは、採用活動を遅らせて、今年の面接試験を大学4年時の夏に実施したそうです。

「優秀な学生を他社にとられ、応募してこないんじゃないか」との心配をよそに、受験者は1.2倍に増え、別の業界を狙っていた学生、春に公式戦があり春の就活が困難な体育会系の学生、留学帰りの学生など、多様な人材が集まったとのことです。8月になると卒論にとりかかったり、他社の面接をこなして、一段と成長した学生も多く知識や勉学の姿勢や人生観まで踏み込んで話ができたケースが増えたといいます。結果が出るのは3.4年先になるとしても、来年も4年の夏休みの面接試験を軸に採用するそうです。

 大学を卒業した学生のゴールは就職であるとしても、大学にいるあいだは学生らしい時間をできるだけ長く保障することが、学生の知識と力量を高め、結局は優秀な人材の確保につながります。就職のために浮き足立って、勉学がおろそかになり、4年時のゼミや実験にも参加できず、「エントリーシートの書き方」「アポのとり方」「企業訪問の仕方」に研究熱心にならざるを得ない現状は、けっして大学にとっても企業にとっても好ましい状態とは思われません。

 今年の11月、商社でつくる日本貿易会が、2013年の春の卒業生から採用試験を4年生の8月以降に行うとの案を発表しましたが、「絵に描いたもち」に終わらないよう、実施に向けての具体的な方策を示していってほしいです。また他の企業も自社の利益のみに拘泥せず、社会的責任の立場から、「就職協定」の見直しにとりくんでほしいと思います。
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Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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