「全国学力調査」結果を内申に反映させることの姑息さ

2016/10/03 Mon (No.1542)

 9月29日文科省から、4月実施の「全国学力調査」(全国学力・学習状況調査)の結果が発表されました。大阪府の学力調査の結果の推移は、朝日新聞9月30日朝刊に載せられています。

全国学力調査2016

 これを見ると中学3年生の学力調査の結果が、昨年急激に上昇し、そして今年は一転して下降に転じているということがわかります。その理由は何でしょうか。今年の生徒は、昨年の生徒とくらべて学力が低下したということでしょうか。

 そうではありません。大阪府では、昨年度の中学3年生に対して「全国学力調査」の結果を公立高校入試の内申点に反映させたためです。これは唯一大阪府だけの入試制度改革です。そのため、昨年度の中学3年生は、塾や学校で過去の全国学力調査問題に取り組み、その結果、学力が急上昇したように見えるのです。まさに入試をえさに中学3年生の全国学力調査結果を向上させたのです。

 「全国学力調査」は、高校入試のための調査ではありません。そのため調査結果を高校入試に導入することには文科省からクレームがつき、今年度大阪府はしぶしぶ「全国学力調査」の結果を内申点に反映させることを中止しました。入試というえさの効果はたった1年で消えました。当然のことながら、今年の中学3年生の調査結果は下降に転じたのです。

 「全国学力調査」の結果が今までで一番高かった昨年の中学3年生、すなわち今年の高校1年生の学力が、それまでと比較して高いのかというとそうでもありません。実際に高校で教えている立場から見れは、今まと変わった点はありません。そのことは、全国的に展開しているベネッセの「スタディサポート」の結果にも表れています。

 ところで、今年の中学3年生には、大阪府「中学生チャレンジテスト」という新たなテストが課されています。そしてこれを入試の内申点に反映させることになっています。このことの問題点は、また日を改めて述べたいと思います。
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進路ルーム

Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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