自己申告書の危うさ

2016/03/17 Thu (No.1520)

 大阪府では今年の府立高校入試のボーダーゾーンの生徒の合否判断材料に自己申告書を利用します。自己申告書が、各高校のアドミッションポリシーに極めて合致する者を優先的に合格させるわけです。しかし、この自己申告書が非常に曲者なのです。自己申告書には、自分で書いたと思われるもの、中学校の先生の指導や修正が加わっていると推測されるもの、さまざまあると思われます。中学校によって、指導の体制が異なっているのではないでしょうか。そうであれば、自己申告書を使用するのには、不安を覚えます。

 次に記載の内容についても、その客観性の担保が難しいのです。例えば、自己申告書に英検2級所持、クラブ全国大会何位と書いてあっても、それを確かめるすべがないのです。大学のAO入試の場合は、資格や成績の記載には、それを客観的に証明する文書の添付を求めています。しかし、大阪の高校入試では、そういった客観的資料の裏付けは必要ありません。そんな状態で、「自己申告書」によって、いわば「飛び入学」の形で合格が決まります。もちろん虚偽の記載はないと思っていますが、実際には、記載できるだけの記録があっても記載をしなかった生徒もいるのではないでしょうか。
 
 大学のAO入試では、「志望理由書」にもとづいて、面接試験が行われます。それを見ながら受験生に質問を投げかけ、受験生の実態を把握することができます。しかし、大阪府の高校入試においては、面接試験はないのです。自己申告書が、かりに多分に大人によって「脚色」されたものであっても、それを信ずるしかありません。受験生を面接することはできないのです。
 
 このように客観的基盤を欠く可能性の高い「自己申告書」の導入は、非常にあいまいな要素を受験に持ち込むことになります。一方で、非常に厳格な答案の採点をもとめながら、他方で、非常にファジーな「自己申告書」を採用することは矛盾していると考えられます。

 毎年、入試制度改革を行う「朝令暮改」の大阪府教育委員会のことですから、また来年の入試制度も改革されているかもしれません。
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進路ルーム

Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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