奨学金の機関保証制度

2010/11/02 Tue (No.134)

 日本学生支援機構の予約奨学金(第2次)は10月22日で締め切られています。しかし、1月に再び第3次の募集があります。このように何度も募集があることは、経済状況が悪化している家計にとって好ましいこととはいえます。しかし、たとえば月額12万円の第2種奨学金を貸与されたとして、3%の利率として卒業後20年にわたって、月々3.2万円を返済続けることができるでしょうか。返済のことも考えながら、奨学金を申し込まなければなりません。妥当なラインが月額5万円(月々返済1.7万円で15年間)か、月額8万円(月々返済2.2万円で20年間)となると思います。それでもとどこおらず返済するためには、安定した職に就くことが必要です。

 2006年までは、奨学金の貸与を受けるには、連帯保証人と保証人を立てる必要がありました。しかし、現在は、連帯保証人と保証人がいなくても「日本国際教育支援協会」に一定の保証料を支払うことによって奨学金の貸与を申し込めるようになりました。これを「機関保証」といいます。しかし、これは実にとんでもない制度なのです。

 まず保証料からみてみましょう。貸与月額8万円の場合、保証料月額は4657円です。この金額が天引きされて奨学生の銀行口座に振り込まれます。すなわち、75343円が月々、銀行口座に振り込まれるわけです。8万円を4年間貸与されて、合計貸与額が384万円、ここから、223536円が保証料として天引きされます。この保証料は貸与額の6%近くになります。

 でも問題はここからです。こうして、高い利子を払って「機関保証」を受けた奨学生は、経済状況の急変によって奨学金の返還が困難になった場合、保証機関である「日本国際教育支援協会」が奨学生にかわって弁済してくれると思ってしまいます。たしかに、奨学金が期日までに返還できなくなった場合、「日本国際教育支援協会」は、奨学金の残額を一括して、日本支援機構に代位弁済します。しかし、その代位弁済された額は、のちに「日本国際教育支援協会」から返還義務者に一括して請求されます。もし、保証機関に返済できない場合は、個人信用情報機関に延滞情報が登録される(ブラックリストに載る)こととなります。これでは、債権者が「学生支援機構」から「日本国際教育支援協会」に変更になるにすぎません。債務は債務として残ります。代位弁済を受けるためだけに、高い保証料を支払うのです。「日本国際教育支援協会」ではなく、暴利をむさぼる「ローン借り換え支援協会」としかいいようがありません。

 しかし、うがった見方をすれば、これは将来奨学金を返還できない債務者の増加をみこして、「日本学生支援機構」が損失を被らないための予防手段だといえます。「日本学生支援機構」は、機関保証制度を、「連帯保証人や保証人を立てるのではなく、一定の保証料を支払うことで、自分の意思と責任において奨学金の申し込みができる制度です」とリーフレットを発行して宣伝しています。
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コメント

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一体誰のためにできた制度なのでしょうね?

こんにちは。
機関保証 利子 高い~を検索してここに来ました。
今年の春、子供が一種、二種の奨学金を得て、念願の大学に入学することができました。

私の家庭は貧困です。
奨学金を借りられ進学できたことは本当に嬉しいことなのですが、
機関保証の金額(毎月振り込まれる奨学金から引かれる)があまりに高すぎて驚きます。

しかも奨学金を借りているとそれが収入とみなされ、
金額が大きいと授業料免除も受けられません。
(これは奨学金の総額を減額することでなんとかなりますが…)

機関保証が本当の意味での保証にならないことを知り、
なぜこのような制度がまかり通っているのかが不思議でなりません。

貧困家庭の子を卒業後も苦しめるような制度。
一体誰のためにできた制度なのでしょうね?

うちのような余裕がない家庭の子供の進学は、
このような情報だけが頼りです。
奨学金の借り入れ金額もどのくらいが妥当なのか?
こういう情報がもっと広まれば良いと考えております。

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奨学金

申し込みした金額と 振り込みしてある金額が 何故 違うのか


プロフィール

Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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