高等教育の無償化

2013/10/12 Sat (No.1234)

 中・高等教育の無償化は、国際人権規約A規約に規定があり、日本は、国際人権規約そのものは批准していますが、次の3点については留保しています。その3点とは、公務員の争議権、公休日の給与支払、そして中・高等教育の無償化です。先年、中等教育に位置づけられる高校授業料は無償化されました。ただし高校授業料無償化に所得制限を設ける動きにも注意を払わなければなりません。

 高等教育に位置づけられる大学教育についても、ヨーロッパや南米の多くの国では無償化されています。それに対して、中国・韓国、米国・英国・オーストラリアなどでは授業料は有償です。アメリカや韓国の教育ローンの利率の高さは、卒業後の返済に大きな影響を及ぼしています。もちろん日本でも、大学教育は有償で、しかも授業料は高額です。そのため奨学金という名のローンの利用が増えてきているのです。

 ところで、中・高等教育の無償化に対する留保の撤回が、2012年9月、閣議決定され、国連に通告されました。これにより、日本も、「無償教育の漸進的な導入」という人権規約に拘束されることとなります。しかし、実際には授業料無償化には、ほど遠い状況です。確かに授業料減免措置、奨学金関係予算は、この5年間漸増しています。しかし、肝心の授業料の無償化は行われる気配がありません。

 日本は教育に公費をかけない国です。高等教育に対する公財政支出の対GDP比は0.6%とOECD諸国の平均の半分しかありません。また貸与制でしかも大半が有利子の奨学金制度しかありません。各国で採用されているGrant と呼ばれる公的給付奨学金の制度がないのです。学生支援機構の奨学金は、奨学金という名がついていますが、Scholarshipではなくloanなのです。高等教育に対する公的支援制度の抜本的改革がなければ、奨学金を返還できない、困窮した大学卒業生を数多く生み出し続けることとなります。
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Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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