ぼっち席

2013/07/27 Sat (No.1155)

 今日の朝日新聞夕刊の第一面に、京都大学の学生食堂の一人用席が静かな人気になっているという記事が載っています。一人ぼっちへの周囲の目線を気にせず食事できることから「ぼっち席」と呼ばれているそうで、神戸大学でも採用されたそうです。

 一人で食事することは、わたしが学生だった30年以上も前は当たり前のことで、大学の学食も、下宿屋街の一膳飯屋も、みな一人で食事をしたものでした。「一人居酒屋」という言葉もないくらい、「一人居酒屋」もありふれたものでした。携帯もなく、メールもなく、個人と個人の距離が今よりもはるかに遠い時代では、他人の目線を気にしながら生きるという選択肢は今よりずっと少なかったわけです。

 ところが現代では、携帯やメールだけでなくSNSができたかと思うと、twitterあり、LINEあり、希薄ではあっても人とのつながりに配慮せざるをえない時代となってきました。ハイデガー流に言えば、「ひと」の動向を気にしながら生きる「ひと」が現代の人間なのです。

 食事においても、一人ぼっちで食事することが恥ずかしいと思えるようになり、「便所飯」と呼ばれる「個室」でこっそりと食事する大学生が話題になったのもつい最近のことです。高校でも、仲間から離れて、ひとり教室の隅で食事している生徒はさびしそうにみえます。しかし、結局のところ、ひとは一人で生きていかざるをえない。「ぼっち席」は現代の若者心理の脆弱さを露呈しながらも、案外、そのしたたかさを具現しているのかもしれません。
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進路ルーム

Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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