Memento Mori

2013/03/30 Sat (No.1034)

 京都市美術館で開かれている「リヒテンシュタイン展」に行ってきました。京都の桜は今が満開です。琵琶湖疏水沿いの桜、岡崎公園の桜、早い遅いはあっても桜の見ごろです。ところでリヒテンシュタイン候国はハフスブルク家の廷臣として活躍したリヒテンシュタイン家の領国です。小豆島と同じくらいの面積の小国ですが、当主は代々美術品の収集家として英国王室に次ぐ世界最大級の個人コレクションを有しています。

 今回の展覧会はそのリヒテンシュタイン家が所有するルネサンス・バロック・フランドル・ビーダーマイヤーなどの絵画と宮殿を飾る装飾品の展示です。日本での初めての公開となります。ルーベンス、ラファイエロ、ヴァン・ダイク、レンブラントなど日本でも有名な作家の作品も展示されています。ルーベンスの愛娘クララを描いた肖像画は小品ですが、生き生きとした描写を感じます。

 あまり注目されないのでしょうが、わたしに印象深かったのは、ヤン・ブリューゲル(2世)が描いた「死の勝利」と題する作品です。1620年ごろの作品とされていますが、多くの死者が街に侵入し生者に忍び寄って大鎌をふるって生者をとりこにするという作品です。王侯貴族であっても死が逃れられないものであるという「死の舞踏」のモチーフはよくありますが、「死の勝利」は市井の市民のもとに死が忍び寄る構成となっています。

 当時神聖ローマ帝国(ドイツ)では30年戦争が始まったばかりで、またペストの流行もありました。Memento Mori(死を忘れるな)、現代のわたしたちには死は忌避するものとなっていますが、死が親しかった時代のほうが、はるかに長いのです。
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進路ルーム

Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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