学生支援機構奨学金採用通知の遅延

2016/10/26 Wed (No.1552)

 先日、日本学生支援機構から第1次の奨学生採用通知決定が、当初の10月下旬から11月中・下旬にずれ込むとのファックスが送られてきました。その理由は、「第一種奨学金の採用枠拡大に向けた関係機関との調整に時間を要しているため」だとあります。

 無利子である第一種奨学金の枠が拡大されることは、予約奨学生にとっては朗報です。とはいっても、金利が低い現在、金利がこのままで推移すれば、第二種奨学金の利子負担もそれほど大きくありません。

 今回の決定通知の遅延で一番問題なのは、学生支援機構の「入学時特別増額貸与奨学金」に関するものです。「入学時特別増額貸与奨学金」を申し込んでいる生徒は、「国の教育ローン」が借りられない場合でも、「入学時特別増額貸与奨学金」を担保として、労働金庫から「入学時特別増額貸与奨学金」の額の範囲内で融資を受けることができるのです。しかしその際、奨学生として採用されていることが必要とされます。

 採用決定通知が11月中・下旬にずれ込むと労働金庫からの融資もそれ以降になります。AO入試、指定校推薦、一部の公募制推薦入試では、入学金等の納入が、11月中・下旬に設定されていることが多く、労働金庫からの融資が間に合わない可能性が大きくなるのです。

 わたしは、入学金等に不安のある場合は、「入学時特別増額貸与奨学金」を最大限50万円まで申し込むように勧めています。通常であれば、採用通知は10月下旬には来るので、それを担保として推薦入試であっても入学金、前期授業料の大半をまかなえるのです。今回の遅延が、経済的に不安のある生徒に影響が出なければいいのですが。
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絶対評価でも相対評価でも生徒を正しく評価することは困難

2016/10/18 Tue (No.1548)

 絶対評価は、定期テストの点数、提出物、授業態度、学習意欲などそれぞれに到達基準を定めてその基準に到達していれば一定の評価を与えるという評価方法です。したがってパーセンテージとは関係なく、多くの生徒に5や4を与えることが可能となります。しかし、中学校ごとに授業内容やテストの難易度など評価の基準が違うので、絶対評価にしたからといって必ずしも生徒の客観的到達度を評価することはできません。現在の状況では、絶対評価であっても、相対評価であっても生徒のもっている力を正しくはかることはできないのです。

 神奈川県では、中学校の調査書は絶対評価です。平成25年1月に神奈川県教育委員会は、2学期制では前期の、3学期制では1学期の学習評価を中学校ごとに公表しています。中学校によって評価に大きなばらつきがあります。とくに2学期制の中学校の評価を見ると絶対評価の矛盾が明らかになります。ある中学校では国語の評定5が43.6%もあるのに、別の中学校ではわずか1.1%しかなかったり、実技教科においても音楽の評定5が30.5%の中学校もあれば、2.3%の中学校もあります。体育や技術家庭にいたっては、評定5が0%の中学校もあります。

 このような中学校の評価を公平といえるでしょうか。中学校間に学力格差があるとしても、この評定を入試に使用することには、公平性を欠くと思います。大阪府の中学校がどのような評定の出し方をしているかはわかりませんが、評定が1違うと総合点で10点異なってきます。もし神奈川県のようであれば、5段階の絶対評価より、かつての10段階の相対評価のほうがより信頼できるように思われてなりません。
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大阪府立高校入試の調査書

2016/10/17 Mon (No.1547)

 大阪府立高校の入学試験は毎年変更されています。それは、学力の高い地域の学力の高い中学生には有利で、学力の低い地域の中学生には、たとえ学力が高くても、不利に作用していきます。そして人気のあるいくつかの学力の高い高校と人気のない学力の低い高校との二極分化を生み出していきます。人気のない高校は廃校となるか統廃合の対象とされます。

 過去2年間に起こった高校入試の変更を調査書の取り扱いを軸としてながめてみることにしましょう。

 2015年度までは、全日制普通科の入試は学力検査、調査書それぞれ350点を満点とし、学力検査と調査書の割合を高校ごとに6:4、5:5、4:6にした700点満点で判定されました。調査書は10段階の相対評価でつけていました。この入試方式は、相対評価であったとしても2014年度まで学区制があったため、中学校間格差はそれほど大きくなかったと思います。

 2016年に、入試制度が大きく変わり、前期・後期の入試がなくなり、一般選抜に一本化されました。また学力検査、調査書それぞれ450点満点となり、学力検査と調査書の割合を高校ごとに7:3、6:4、5:5、4:6、3:7にした900点満点で判定することになりました。調査書の取り扱いは大きく変更されました。

 調査書は5段階の絶対評価となり、調査書に対して、「各中学校は、平成27年度全国学力・学習状況調査結果の平均正答率を活用し、在籍する生徒全体の学力状況に応じて『評定平均の目安』を 算出し、その目安の±0.3ポイントの『評定平均の範囲』内で調査書の評定を確定する。」という府内統一ルールが適用されました。絶対評価自体が客観的な評価基準があいまいである以上に、その中学校の個人の評定が、在籍する中学校の生徒全体の学力状況によって引きずられていくこととなりました。

 府内統一ルールについては次の表をご覧ください。(「学校選びの道しるべ (2015年4月16日)」 開成教育グループ より引用)

2016府内統一ルール

 中学校によって、努力していても評定が下がったり、努力していなくても評定が上がったりする現象が起きるようになったのです。

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いよいよ2学期中間テスト

2016/10/14 Fri (No.1549)

 今日は高校のテストの話です。いよいよ2学期の中間テストが始まります。1.2年生は9月にあった文化祭のあとのけだるさを引きずり、3年生は11月から始まる公募制推薦入試にむけて受験科目ではない教科の勉強には力が入りません。2学期の中間テストは一年で一番成績の振るわないテストとなります。

 1.2年生で、成績が不振な生徒は、たいていこの2学期の中間テストで成績を挽回することができず、進級するのが困難な状況に陥ります。気持ちを切り替えてこの10月を乗り切ってください。
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公募制推薦入試の日程3

2016/10/13 Thu (No.1551)

 昨日に引き続き、公募制推薦入試の日程をお知らせします12月1日以降が試験日である推薦です。(出典 「進路2016 special issue」夕陽丘予備校)

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 関西の大学の公募制推薦は併願であることがほとんどで、2月の一般入試を受ける前に安全校としてあるいは力試しとして受験するケースもあります。
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公募制推薦入試の日程2

2016/10/12 Wed (No.1550)

 今日は、11月7日以降11月27日までが試験日である公募制推薦入試の日程をお知らせしたいと思います。関東の大学と違って関西では公募制推薦入試に評定平均の基準がない場合がほとんどで、1科目か2科目かの試験を課します。出典は先日と同じ夕陽丘予備校によるものです。(出典 「進路2016 special issue」夕陽丘予備校)

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国公立大学入試は理系のほうが易しい

2016/10/11 Tue (No.1546)

 私立大学で理系学部を持つ大学は限られており、多くの私立大学には文系学部しかありません。近年は若年人口の減少とともに大学入試が易化してきているので、私立大学の文系学部の中には、ほとんど入試とは呼べないような倍率のところもあります。そのため入学定員の少ない理系学部のほうが入試の難易度は高いように思われるのですが、国公立大学の入試では事情は異なってきます。

 国公立大学では、定員の面で理系学部とくに工学部の比重が高く、合格に必要とされる最低点も理系学部のほうが文系学部より低いことが一般的です。下の表を見てください。(出典 「保護者のための大学入試ガイドブック2016」 株式会社TAP)

得点率

 センター試験で合格に必要とされる得点が明らかに理系のほうが低いのがお分かりいただけると思います。数学や物理は得意であれば、高得点を狙える科目でもあり、理系教科の好きな受験生にとってはより有利といえます。
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プロフィール

Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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