がんばっている3年生

2012/10/31 Wed (No.882)

 放課後「赤本」を借りに来た生徒と立ち話。最近成績が伸びてきて、模試でC判定がつくようになってきた生徒です。現役でいまC判定まで行けばあと少しです。滑り止めをどこにしようか相談されました。いまは滑り止めよりも、自分の第一志望の大学だけを考えたほうがいいとアドバイスしました。

 そのあと、アポのある生徒と面接練習をしました。大学について知識が深まっていくにつれて、少しずつ自分の将来像が変化して、まとまりが付きにくくなってきています。自分の第一印象と自分の経験を大切にして、自分の言葉で答えられるようにしたほうがいい、と私なりの意見です。

 午後6時を過ぎても、自習室には何人もの生徒が残っています。この自習室はじゅうたん敷きでブース形式になっています。昨年完成したばかりの自習室で、みんな静かに勉強をしています。その中の一人の生徒に用があったので、小声で声をかけて外に出てもらいました。

 受験がだんだん近づいてきています。公立高校のおかれている環境は年毎に厳しさを増していますが、まだ努力している生徒がいるのを見ると、心強い気がします。わたしも生徒たちのために、できるだけの支援はしたいと思っています。
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教師と保護者との信頼

2012/10/30 Tue (No.881)

 10月27日づけ朝日新聞朝刊に、「通知表、保護者が事前点検」という記事が載っていました。それによると「横浜市教委が、通知表を児童・生徒に渡す前に、保護者らに内容を確認させるよう、学校に指示していた」というものです。

 通知表は、児童・生徒の学習や活動の評価を記したもので、事前に保護者に確認を求める性質のものではありません。もし、事前の確認が必要であるのなら、それは評価ではなく、事前相談の意味を帯びてきます。実際に、都筑区の中学では、終業式1週間前に「通知表のコピーを生徒に配ったところ保護者から『成績が低すぎる』といった苦情が40件以上相次いだ」とのことです。

 市教委はこの事前点検を通知表の記載ミス防止のためとして、必ず行うよう指示しているとのことですが、事前確認をしたにもかかわらず、ミスがあったケースもあるそうです。「港北区の小学校校長は『成績表は信用ならないと言っているようで抵抗がある』」と述べています。

 中学生とその保護者にとって、高校進学のための重要な指標である「成績」ですが、評価が公平で透明であるべきことはもちろんとしても、評価権は教師にあるのであって、保護者の側にあるわけではありません。記載ミスを防ぐというより、先の校長の述べているように、評価の信憑性を疑うかのような今回の事前点検は、明らかに教育への信頼をおとしめるような結果を生むと思います。

 大阪でも教育をとりまく環境が激変しており、教育に対する不信に基づくと思われるような条例も施行されています。しかしながら、お互いのミスをあげつらいながら、戦々恐々として教育をおこなうより、多少のミスは許しあい、お互いに信頼しあって教育をおこなうほうがはるかに効果は大きいのです。教育は教育のプロを信頼して、教師と保護者とが協同で生徒を育てるWINWINの関係の構築が成功を導く鍵だと思います。
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センター試験「確認はがき」到着

2012/10/29 Mon (No.880)

 先週末、大学入試センターから「確認はがき」が送付されてきました。「受験案内」には、11月5日までに届くように送付する、と書かれているので、大学入試センターとしては異例の速さのように感じます。昨年は、「登録内容訂正届」受付締め切り直前に、「確認はがき」が送付され、大慌てで生徒に確認してもらいました。今年のセンター試験実施で大きな混乱があったためか、今年の入試センターは気合が入っています。

 「確認はがき」の氏名・連絡先等については、一部が当用漢字に置き換えられたり、カタカナ表記になっている場合がありますが、登録上問題はなく、訂正する必要はありません。登録教科は変更することが可能です。9月4日のブログで示したように「登録内容訂正届」のコピーを使用して変更してください。あらたに検定料を振り込む必要がある場合もあります。

 現役生の訂正は、高校を通じて行います。わたしの高校では、10月下旬に「確認はがき」が送られてきたので、余裕を持って訂正が可能です。今週末までに生徒からの訂正を取りまとめ、「大学入試センター」に郵送する予定です。
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高校専門学科からの就職

2012/10/28 Sun (No.879)

 昨日のグラフでお分かりのように、2012年3月高校卒業生の就職率は16.5%となっています。したがって大部分の高校生が大学・短大・専門学校に進学していることになります。とくに普通科の高校では卒業生の7.6%しか就職しません。それにくらべて、工業科や水産科などの専門学科の卒業生は6割以上が就職することになります。下の表をご覧ください。(出典 「平成24年3月高校卒業者の学科別就職状況」 進路データVol.474 JSコーポレーション)。

学科別

 普通科の保護者のなかに高校卒業後は就職を希望する子どもをお持ちの方がいらっしゃいますが、就職のチャンスという面からいうと専門学科のほうが恵まれていると思います。普通科だと、高校により大学主体、専門学校主体の差はありますが、どうしても進学が中心となってきます。大阪では、かつて工業高校卒業生が、製造業の中心的労働者として迎え入れられた歴史が残っており、いまだ大企業とつながりを持つ工科高校も多く存在します。優秀な成績であれば、有名な企業に就職することが可能です。ただし大学からの就職とは異なって現業の仕事が多いといえます。それでも近年は生徒の質にばらつきが大きいため、就職担当の先生は個々の生徒にふさわしい就職先を確保するため大変な努力をされています。
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高卒就職者の人数の推移

2012/10/27 Sat (No.878)

 10月に入って景気回復が低迷し、高卒求人にも少し翳りが見え始めていることを昨日お話しました。しかし、そうはいっても今年の求人数と就職者数は昨年よりは増加するだろうと思っています。高卒求人の場合は、9月が1次求人の時期で、このときに大半の高校生が就職の内定をもらいます。ですから、今年に関していえば、すでに内定が出ている高校生が多いのです。下のグラフをご覧ください。(出典 「高校卒業者に占める就職者の割合」進路データVol.474 JSコーポレーション)。このグラフに今年のデータを継ぎ足すとすれば、少し右肩上がりになるのではないかと予測しています。
 
就職者数


 過去を振り返れば、2010(平成22)年3月卒業生が、もっとも就職に苦労した世代です。2008年秋にリーマンショックが起こり、2009(平成21)年3月卒業生は、9月の1次求人までは景気がよかったのですが、2次求人からは急速に求人が落ち込み、結果として2008(平成20)年卒業生の就職実績を下回りました。そして2009年度は、6月7月に企業訪問をしていても、採用予定のない企業が多く、2010(平成22)年卒業生の就職者数は極端に落ち込んでしまいました。そこから、今年にかけて少しずつの就職者増加となっています。
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高卒WEB求人の取り消し

2012/10/26 Fri (No.877)

 秋になって景気が下降し、就職戦線が少し厳しくなってきています。高卒WEB求人においても求人を取り消すところがでてきています。高卒での就職は、いったん採用内定を出したら、企業も生徒もそれを取り消すことはできません。今回の求人の取り消しというのは、採用内定取り消しではなく、募集中の求人を取り消すというものです。

 大阪労働局から送付されてきた文書には、全国の高卒求人取り消しの状況が記載されています。地域的には東北の企業の求人取り消しが多いような印象を受けます。また取り消しの職種は多岐にわたっていますが、やや製造業が多いように思います。

 一覧表を見るかぎり、大阪や東京といった大都市部では、ほとんど影響がないように感じますが、11月の合同求人説明会の参加事業所が少なくならないことを願っています。
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貸与型奨学金に対する進路指導教諭の考え

2012/10/25 Thu (No.876)

 「大學新聞」10月10日号に、日本学生支援機構の奨学金について、全国の高校の進路指導担当教諭はどう考えているか、興味深い記事がありました。

 学生支援機構の調査では2010年11月時点で昼間部大学生のの50.7%が支援機構の奨学金を利用しており、2010年度と比べて7.4%も利用者が増加しているそうです。また、国税庁の「民間給与実態統計調査結果」によると、民間企業に働く労働者が、2011年度一年間に受け取った給与の平均は409万円で、ピーク時の1997年と比較すると58万3千円の減少となっているとのことです。

 大学の学費は、文科系で年90万円、理科系で年140万円程度なので、それをまかなうために、月額8万円の奨学金を4年間借りたとして、返済額は月額約2万円、それを20年にわたって返し続けなければなりません。それができるのか、将来の雇用情勢とからんで、進路指導担当教諭の意見は分かれます。

 「大學新聞」が、「貸与型奨学金は、返済が不安なので、生徒に推薦できないか」を問うたところ、回答は、「どちらでもない(40.5%)」が最も多く、「推薦できる(35.5%)」、「推薦できない(23.6%)」と続きます。わたしも返済に不安を覚えるほうですが、どちらかというと「推薦できる」の立場になります。学資が不足するので大学に進学できないというのは、理不尽に感じるからです。

 「推薦できない」と回答した理由で多かった(複数回答可)のは、「長期間返済し続けるのが困難だから(50.9%)」「大学卒業後、就職できるかどうか不安だから(49.4%)」となっています。この不安ももっともなことです。大学はいま二極分化しています。毎年、募集定員を充足できず、何とか学生をかき集めようとしている大学に、奨学金を利用して進学しても、卒業後の就職が保障されるわけではありません。奨学金は、学生の将来に寄与することなく、大学の経営を助けるものとなってしまいます。奨学金を利用して進学するのであれば、進学するに値する大学を選ぶべきだと思います。

 また学費や奨学金に対して、「大學新聞」が自由回答を求めたところ、「学費をさらに下げるべきだ」「国や公的機関がいま以上に学費を負担すべき」「貸与型ではなく給付型にしてほしい」など多くの意見が寄せられたそうです。わたしは、成績上位者に対して、大学独自の給付型奨学金を拡大し、大学進学と大学での勉強に対するインセンティブを整備していってほしいと思っています。
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プロフィール

Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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