全府立学校への授業アンケート

2012/08/24 Fri (No.811)

 「大阪府教育委員会は24日、全公立学校の保護者や生徒に授業アンケートを行い、授業を受ける側からみた『授業力』を教員評価に反映させることを決め、授業アンケートを教員の評価に直結させる」との記事が、朝日新聞夕刊に載っています。こういった制度は「全国で初めて」で「評価の結果は、給与などに影響する」とのことです。(出典 「朝日新聞」8月24日夕刊)。

 これは3月に可決した府立学校条例を踏まえたもので、高校の教員については「授業内容に興味関心を持つことができた」「授業を受けて、知識や技術が身に付いたと感じている」の2点について、生徒による評価を行います。

 一見すばらしい制度のように見えますが、実は多くの問題点を含んでいます。まずこのアンケートは、生徒が知的好奇心を持って積極的に授業に取り組むものであることを暗黙の前提にしています。はじめから授業に関心のないものは、どのような授業内容であっても寝ているか、騒いでいるか、内職をしています。したがって知識や技術が身につくことはありません。どんなにすばらしい文楽公演であっても、興味がなければ「グッと来るものがない」と評価するのと同じことです。

 現在、高校の差別化の拡大にともなって、さまざまな状況の高校が生まれています。そのなかで、一様な尺度でアンケートを実施することにも、疑問を覚えます。今日は帰宅が遅く、疲れていますので後日改めて考えたいと思います。
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大阪府公立学校教員の待遇

2012/08/23 Thu (No.810)

 今日は別の観点から、秋田と大阪の教育の違い見てみましょう。教師に対する待遇の違いです。みなさんは、大阪府の中学教師と秋田県の中学教師とでは、どちらが月収が多いかご存知ですか。それは、当然大阪府だろうと思われる方がほとんどでしょう。じつは、誤りです。

 2011年度の公立中学校の本務教員の平均給料月額(40歳代前半)は、秋田県37.8万円に対し大阪府33.6万円と大阪府が4万円も低くなっています。(出典 「平成22年度学校教員統計調査」文部科学省 2012年3月27日発表)。また大阪府と秋田県では物価も違うので、全国平均を100として物価指数で調整すると、秋田県39.5万円、大阪府32.9万円となります。政治的バッシングの対象となって以来、保護者や生徒に対する悪影響は計り知れず、精神の自由は制限され、給料は低く、遅くまで働いても一切残業代は支払われない。これでは、大阪府の教員は魅力のある職業とは言えません。

 それを反映してか、中学校教員採用試験における倍率には両府県で著しい違いがあります。もちろん採用人数が違うので単純化はできませんが、今年4月に採用された教員の倍率を比べてみましょう。秋田県では、国語19.0倍、数学27.0倍、社会27.5倍、理科11.5倍、英語17.7倍なのに対し、大阪府では、国語2.8倍、数学2.5倍、社会6.4倍、理科2.3倍、英語4.2倍となっています。大阪では、民間企業に就職するより、教員採用試験のほうが簡単です。

 大阪の公立学校の教員の待遇を引き上げ、誇りを持って働けるようにしなければ、教員希望者はますます減少し、近い将来、それこそ微分・積分もできない数学教員や、古典を読めない国語教員が出現するかもしれません。
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全国学力調査

2012/08/22 Wed (No.809)

 今月8日に文部科学省から「全国学力調査」の結果が発表されています。それによると都道府県別の平均正答率が一番高いのは秋田県で、小学校の全教科で1位、中学校では国語A、Bと数学Bが1位、数学Aが2位、理科が4位となっています。それに対して大阪府は中学5教科が42位から46位とふるいません。(出典 「全国学力調査-結果と分析-」 朝日新聞8月9日朝刊)

 文科省が、前回調査後、秋田県の好成績の理由を調べたところ「早くから少人数教育を導入したことや、家庭の教育力の高さが背景にある」とのことです。少人数教育について秋田県は2001年から少人数教育に取り組み、現在は小学校1.2年および中学校1年で30人教育を実現しています。大阪府も2007年から少人数教育に取り組んでいますが、小学校1.2年で35人学級であるに過ぎません。少人数学級といっても、日本の1学級あたりの児童生徒数は、OECD諸国と比較して、小学校で7人、中学校で10人多くなっています。

 家庭の教育力の高さについては、大阪には貧困家庭も多く、また近年の教員に対するネガティブキャンペーンのせいで、家庭での教師に対する信頼が揺らいでいます。大阪の教育を実りあるものにするためには、われわれ教員自身の努力ももちろんですが、環境面の整備も重要な課題なのです。
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新様式の求人票の見方

2012/08/21 Tue (No.808)

 進路指導部に高卒求人票の見方についての資料が送られてきましたので、紹介します。その1が表面で、その2が裏面です。

求人票裏
求人票表

 裏表になっているために、一瞥できなくて不便だという意見をいろいろな高校で聞きます。また字が小さくて読みにくいという声もあります。これは、たぶんに教師が高齢化したためでしょう。長い間就職に携わってきた先生からは、記載場所が変更になって見にくいとの声もあります。しかし、生徒にとっては初めてみる求人票なので、どんな求人票でもすぐには理解しにくいことでしょう。
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第1解答科目への変更

2012/08/20 Mon (No.807)

 2012年入試では、公立大学や私立大学において、地歴・公民や理科を2科目受験し、そのうち1科目しか判定に必要のない場合、「高得点科目」を利用する大学が相当数ありました。しかし2013年入試では「第1解答科目」を利用する方式に変更するところがでてきています。下の表をご覧下さい。(出典 「旺文社教育情報センター」原典は蛍雪時代8月号)

センタ第1私大

 「高得点科目」利用方式だと、2科目分の120分を第2解答科目に費やすことも事実上可能です。地歴・公民ではあまり差はでないかも知れませんが、物理や化学では60分で解答するのと120で解答するのでは、得点に差が出るものと思われます。その点「第1解答科目」利用の方が、受験者には公平といえます。

 2012年度には「高得点科目」利用入試を実施した、ある大学の入試説明会で、「第1解答科目」と「第2解答科目」との得点の間に有意に差があったとの説明がありました。公平な選抜を目指すために、「第1解答科目」利用に変更する大学は、これからも増えそうです。また上記の表の大学も、今後変更する可能性もありますので、入試要項で確認が必要です。
 
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第2回全統マーク模試

2012/08/19 Sun (No.806)

 今日は、河合塾の第2回全統マーク模試の実施日です。わたしの学校でも120人近くの生徒が校内で受験しました。センター試験は2日間で実施されますが、それを1日で受験するのですから長丁場です。

 この時期の模試は志望校を見定める上で大変重要です。河合塾の模試結果は9月の上旬にでます。それを見て志望校を調整しながら、秋からの本格的な受験勉強となります。受験まであと7ヶ月。9月はじめには文化祭がありますが、それが終わるといよいよ受験モードです。指定校推薦で早々と受験から解放されるもの、そしてAO入試、公募制推薦入試とつぎつぎと合格していくものがでてきます。

 それを横目で見ながら、2月までの勉強はつらいです。しかし、高校3年で頑張った数ヶ月間は、きっとあなたにとって価値のあるものとなります。一生懸命頑張れること、それは本当に自分の輝かしい経験なのです。
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声優希望者に大学は必要か

2012/08/18 Sat (No.805)

 わたしたち高校のとくに進路指導の教師は、できるだけ偏差値の高い大学、すなわち国公立大学や関関同立・産近甲龍への進学を勧めてきました。しかしそのことがはたして生徒のキャリア形成の上で有用であったのか、いろいろな生徒を見るにつけ、疑問に思うこともあります。

 生徒のなかには、パティシエになりたいもの、エステティシャンになりたいもの、声優になりたいもの、ストリートパフォーマーになりたいものなど、必ずしも大学や短大に進学することを必要としない生徒もいます。それらの生徒に対しても、わたしたちは大学に進学することを強く勧めてきたのではないでしょうか。確かに高校生の判断は、即断的なものが多く、単なるあこがれで現実が見えていない場合もあります。

 とりあえず大学に進学しておけば、学歴に基づく採用拒否は回避でき、労働条件は高卒よりよくなり、給与も高くなります。大学4年間で自分について考える余裕もあるかもしれません。そして大学のなかで確かな学びと安定した就職と結びつきやすいのは、やはり有名大学です。わたしたちが有名大学を勧める理由はそこにあります。しかし、それを理由に、みずから望んで不安定な職業を求める生徒たちを大学へと誘導していないでしょうか。彼らにとっては、それは問題の先送りでしかないかもしれません。

 たとえばプロの声優として活動するためには、プロダクションに所属していなければなりません。大学をでても専門学校をでても、直ちにプロダクションに所属できるわけではなく、プロダクション付属の声優養成所のオーディションに合格してやっとその養成所の一員となれます。この段階でやっと声優の卵です。そして養成所で認められて初めてプロダクションに所属し、活動できるようになります。なかには、「預かり」や「特待生」という形で、デビューを後押しする場合もありますが、それは特別な場合です。年齢も若いほど有利だといえます。卵が孵化するのはなかなか大変なのです。ギャラも安く、不安定な職業ですが、どの高校にも声優志望の生徒は複数名存在するようです。彼らにとっては、学歴にはなりませんが、大学や専門学校に進学するより声優養成所に所属したほうが職業的には近道となります。http://seiyu2naru.com/という声優についての有用なサイトがあります。

 とはいいながら、普通の生徒が、声優になりたいといってきたら、「ほんとに覚悟はできている。もう少し考えてみたら」と言ってしまいたくなりますが。
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プロフィール

Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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