看護の専門家の退職

2011/03/31 Thu (No.288)

 ここ2.3日暖かい日が続いてします。校庭では、もくれんの花が咲き始めました。桜のつぼみもふくらんで濃いピンク色となり、今にも咲き出そうとしています。春の始まりです。この希望にあふれ、一年で一番よい季節の始まりに、震災と津波の被害にあわれ、また福島原発の事故に憂慮しておられる皆さんのことを考えると胸が痛みます。

 春は、別れの季節でもあります。進路指導部でも「看護系進学」を担当されていたベテランの先生が退職されます。看護系学校への進学指導には、特別の知識が必要です。受験科目は専門学校でも英・数・国の3科目かそれに理科が課される場合があります。ですから理系科目だけではなく文系科目も勉強しておく必要があります。また現在では大学の看護学部への進学も増えてきています。国公立大学の場合は、センター試験受験も必要です。さまざまな受験パターンがあり、それらに精通するには経験が必要です。

 看護系の入試では、小論文の試験があったり、面接を実施したりして、学力だけでなく看護師としての人物も評価の対象とされることもあります。その先生は、国語の先生で、小論文や面接指導に本当に親身になってとりくんでおられました。個人懇談も何度も何度も行っておられました。普通の4年制大学の進路指導とは違った観点からの助言が、生徒たちには必要です。模擬試験にしても、ベネッセや代々木の模試ではなく、看護系専門の模試を受験したほうが正確です。わたしの学校では、看護系の生徒たちは「東京アカデミー」の模試を受験します。校内での進学説明会も看護系は別立てで実施しています。豊かな知識をお持ちの先生が退職されて、進路指導部としては、とてもさびしい思いをしています。
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易しくなった教員採用試験

2011/03/30 Wed (No.287)

 大阪府では団塊の世代の退職により、おおくの新しい教師を必要としています。ことし、大阪府立高校・支援学校高等部に、教諭として合格した人は670名です。かつては、募集人数が少なく、何十倍という競争率の時代もあったのですが、より簡単に採用試験に合格するようになりました。とくに理科系の教師の倍率は低く、高校の数学教師の採用試験の倍率はわずか、2.4倍にしかすぎません。(中学校ではさらに倍率は低い)。企業に就職するよりも簡単に教師になれる時代になっています。

 皆さんのなかで、高校・中学の教師になろうと思っている人には、これからの数年がチャンスです。教育学部を卒業している必要はなく、教員免許を取れる科目を履修していれば、教師の免許を取得することができます。

 しかし、大阪は競争倍率は低いのですが、教師の給与は毎年減らされ、全国最低レベルとなりました。仕事も教育以外の雑務が増加しています。また成果主義となり、じっくりと生徒ひとりひとりに関わることが難しくなりました。そのため、とくに理系の優秀な人材が、他府県に流れたり、他の職業についたりしています。大阪府教育委員会は、理系大学への働きかけを強めるといいますが、まず教師の待遇を改善しない限り、教師不足の状態は続いていくことと思います。
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若い先生

2011/03/29 Tue (No.286)

 3月もあとわずかとなりました。4月になれば、新入生が入学し、新着任の先生が来られます。団塊の世代の大量退職で、どこの高校でもここ数年新任の教師の数が増えています。大阪府の公立高校で、長い間、新任教師の採用はほとんどありませんでした。そのため大抵の学校で、教員の平均年齢が50歳を超えています。わたしもふくめて、高校生から見れば、自分の父親や母親以上の年齢の人たちです。

 しかし、少しずつ若い教師を目にするようになってきました。生徒と一緒になって、クラブ活動で汗を流したり、話の輪にはいったりしています。後ろから見ると、どちらが生徒だかわからないような先生もいます。生徒と年齢の近い教師は、生徒と思いを共感することも得意です。教師の若返りは、生徒にとっていいことです。

 それでもなかには、教科指導に頼りなさを感じたり、分掌指導にもどかしさを感じたりする先生もいます。あまりにも自信を持ちすぎて、から回りしているように思える先生もいます。わたしたちベテラン教師も若いときはそうでした。いや今でもそうかもしれません。とはいえ、わたしたちにできることといえば、若い教師をささえて、存分に活躍する場を作ることです。進路指導部に新任教師が配属されることがあれば、育てていきたいといつも思っています。

 わたしたちが若いころは、仕事帰りにベテランの教師もまじえて、よく飲みに行きました。そこでわたしたちはベテラン教師から教育のノウハウを学びました。最近では、みんな忙しすぎて、このような機会はほとんどありません。残念に思います。
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図書館司書の退職

2011/03/28 Mon (No.285)

 先週、今年の3月で退職される先生方の退職記念の会合がありました。今年退職される方の中に、30数年間ずっと図書館司書として働いてこられた先生もいらっしゃいます。図書館司書は、図書館の縁の下の力持ちです。図書の購入の計画を立て、購入した図書を分類・整理・展示し、生徒の図書委員といっしょに、図書の貸出・返却に立ち会います。わたしたち教師とは違った立場で本好きの生徒たちと接しています。

 図書館は放課後の勉強の場となるだけでなく、学校に居場所を見つけにくい生徒たちの息抜きの場でもあります。例外もありますが、いわゆるアニオタがよく集まってくるのが、図書館です。アニオタのなかには、3次元の世界が苦手で、現実の人間とのコミュニケーションをとるのが下手なひともいます。そんな生徒たちを温かく迎えてくれるのも図書館です。生徒と同じ目線で話ができるのが、図書館司書です。

 ところが、大阪府立高校では人件費削減とのことで、多くの高校で図書館司書の配置が廃止されていっています。わたしの高校でも今の先生が退職されたあとは、かわりの司書の配置はありません。
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パウル・クレー(おわらないアトリエ)

2011/03/27 Sun (No.284)

 パウル・クレー展に行ってきました。クレーは、スイスのベルン生まれの画家で、ドイツとスイスで活躍しました。水彩で描かれたものが多く、日本人好みの作品をのこしています。京都国立近代美術館での開催です。

 クレーの絵はずいぶん昔、カンデンスキーの作品と一緒にみたことがあります。今回は、「おわらないアトリエ」という副題がついており、クレーのアトリエでの制作過程に焦点を当てた展示となっています。アトリエそのものの写真もあります。わたしは、それまで作品そのものしか見たことがなかったので、知らなかったのですが、クレーは、記録魔で、自分が制作した作品のリストを作り、その作品の素材や制作方法を克明に記録にのこしています。そして、作品の左下に小さく1914/73など制作年と作品番号、Ansicht von Kairuanなど作品のタイトルを記しています。今回の展示は、作品の「制作プロセス」を知ることのできる大変興味深いものでした。

 クレーの独自の技法として、「油彩転写(Ölpause)」というのがあります。「油彩転写」というのは、まず鉛筆などで素描を描きます。そして、別の紙一面に黒の油絵の具を塗り、ある程度乾かしてから、作品となる紙の上に絵の具を塗った面をかぶせてのせ、その上に最初の素描をおいて、鉄筆でなぞります。こうすることによってカーボン紙で複写したように作品となる紙の上に素描が転写されます。その上から、水彩で色を付けていきます。このタイプの絵のところどころに、カーボンでこすったような汚れがあるのは、なぜかと思っていたのですが、転写する際にこすれてできたものだったのです。それが、作品に素朴な効果を与えています。クレーは、整理が得意だったのでしょう。素描を描いた数年後に、作品に仕上げている例がいくつも見られました。「油彩転写」の制作過程についてのビデオもあり、おもしろく見ることができました。

 クレーは、管理のために自分の作品を8つのカテゴリーに分けます。そしてそれらのいずれのカテゴリーにも属さない自分のためだけの「特別クラス(Sonderklasse)」の作品も制作しています。この中には、クレーの制作の指標となっていったものが多く含まれています。展示の一番最後はこの「特別クラス」の作品群です。「山のカーニバル」、「ブルンのモザイク」、「荘重な発芽」、「教会」などの幻想的で抽象的な作品群がわたしには、とくに印象に残りました。
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プロフィール

進路ルーム

Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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