大阪府私立高校募集人数

2010/11/23 Tue (No.157)

 ここ数日大阪府の高校入試について述べてきました。そこで今日は大阪府内の私立高校の募集について述べます。11月12日の朝日新聞朝刊に大阪府内の私立高校募集一覧の記事が載っていますが、スキャンするには大きすぎるので、募集人員については、大阪私立中学校高等学校連合会の「私立高等学校生徒募集状況」をご覧ください。私立高校の募集定員は今春なみとなっており、新規中学卒業生数の減少分は、公立高校の募集定員減で補正するようです。

 来春から府内の私立高校に通学する新入生について年収610万円未満の世帯の授業料無償化が始まります。私立上位校にとって兵庫や奈良の進学校に流れていた生徒を取り戻す契機となりますが、同時に文理学科を新設する公立高校との競争も開始されます。大阪は、伝統的に公立高校優位であり、私立と公立のトップ校両方に合格すれば、公立に進学する風潮がみられます。

 公立高校トップ校において状況は穏やかではありません。府下全域からの募集となれば、地の利のいいところや進学実績の少しでもいいところに受験生が集まるからです。3年前に9学区制から4学区制に変わったときも同じ現象がみられました。たとえば現在の第3学区は旧5.6.7学区が合併してできたのですが、9学区時代は5学区の高津高校や6学区の生野高校の方が6学区の天王寺高校(普通科)より難関の学校でした。しかし、学区が広がったため、地の利のいい天王寺高校に優秀な生徒が集まる結果になりました。こんどの文理学科10校においても同じ現象がみられるようになると思われます。

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中学の調査書(大阪府)と高校の調査書

2010/11/22 Mon (No.155)

 高校の調査書は9月7日のブログでお見せしたように、文科省の「大学入学者選抜実施要項」で定められた全国統一の様式で発行されます。調査書には高校3年間で履修するすべての科目についての評定が記されています。評定は絶対評価で各評定の基準人数は定められていません。また「総合的な学習」の評価をのぞいて、評定はすべて5段階評定で示され、各教科の評定平均や全体の評定平均を算出する数式も決められています(9月6日のブログ参照)。

 これに対して、中学校で発行する調査書は都道府県によって違いがあります。大阪府の調査書には中学3年次の成績が10段階評価で記載されます。評定は相対評価で、それぞれの評定に属する人数配分は厳格に定められています。調査書の各評定の取り扱いは、受験する高校によってまちまちです(11月21日のブログ参照)。調査書の見本を下にあげておきます。クリックすると大きくなります。

中学調査書

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大阪府立高校入試制度

2010/11/21 Sun (No.154)

 昨日に続いて、大阪府立高校の入試についての情報です。前期入試は、2月23日、後期入試は3月16日に実施されます。前期入試に合格した生徒は、後期入試を受験することはできません。昨日お話ししたとおり、前期入試に文理学科の募集が加わり、普通科総合選択制は後期入試に移ります。前期日程の高校は府下全域から受験でき、後期日程の高校はそれぞれの通学区域から受験できます。

 大阪府の合否判定は、学力テストの得点と中学校から送られてくる10段階評価の調査書の点数との総合点で行われます。学力テストと調査書との配点比重は、普通科では、4:6(タイプⅠ)、5:5(タイプⅡ)、6:4(タイプⅢ)の3タイプあります。偏差値の高い高校ほど学力テストを重視し、偏差値の低い高校ほど調査書を重視する傾向が見られます。調査書重視ではないといっても、トップ校では調査書の評定は平均して9以上は必要です。どの学校がどのタイプに当たるかは、各高校のホームページでみることができます。

 来春から新設の文理学科では小論文も課されます。普通科総合選択制では、学力テストの比重が昨年の3/4となり、面接もなくなりました。また大和川高校が教育センター付属研究校となり、府下全域から受験できることになりました。

 大阪府の公立高校入試制度について、「進研ジャーナル」の記載がよくまとまっています。下の「学力検査の配点・調査書の評定と総合点」の表は「進研ジャーナル」から引用したものです。

大阪府立高校配点
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2011年度大阪府立高校募集人数

2010/11/20 Sat (No.153)

 大阪府の2011年度公立高校入試の募集定員が発表になりました。来春の中学卒業生数が今年より減少するため、今春の募集より、2200人減の46440人の募集です。51校で募集定員が減となります。

 来春の入試の特徴としては、トップ校10校が文理学科として定員の半分を前期入試で募集し、今まで前期入試を行っていた普通科総合選択制の学校が後期入試に移ります。全体として前期入試の定員比率は、44%から33%に減少します。下の表は、朝日新聞11月20日の朝刊に載っていたものです。

高校
 
 
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9月末の就職内定率

2010/11/19 Fri (No.152)

 11月16日に厚生労働省から「平成22年度高校・中学新卒者の就職内定状況等(平成22年9月末現在)について」が発表されました。

 それによると、求人数は15万1千人で、前年同期に比べ3.1%減少し、その結果、求人倍率は0.87倍となり、前年同期を0.02ポイント下回るものの、就職内定者数は7万1千人(前年同期比7.2%増)であり、就職内定率は40.6%で、前年同期を3.0ポイント上回っています。

 わたしは、この数字がにわかに信じられませんでした。先日の大阪での合同求人説明会で、同じ学区の何人かの進路担当者と話した感触からも、昨年以上の厳しい就職状況がつづいていると思ったからです。大阪だけが例外なのかと思い、昨年の資料にもあたってみました。その結果、京阪神地域の中で大阪が一番内定上昇率が低いものの、それでも昨年と比べて2.5%就職内定率が上昇しています。下図を参照してください。(厚生労働省 前掲資料平成21年度および平成22年度のものより作成)

9月末就職内定率

 しかし、近畿地方でみると、昨年より就職内定率は下がっています。とくに奈良県の落ち込みが大きいといえます。大阪においても地域差があるのかも知れません。大阪の企業団地は職種別に分かれいくつかの地域に集中して発達しています。高校生の就職先は、自宅から通勤しやすいところがほとんどですので、大阪でも北部、東部、南部、西部で違いが現れたのかも知れません。
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「英語公用語」は何が問題か

2010/11/18 Thu (No.150)

 「『英語は出来るけど仕事は出来ない人と、仕事は出来るけど英語は出来ない人と、どっちがいい仕事につけると思う?』という質問は、もはや聞く必要もない質問とさえいえそうである。答えは明らかに、『英語が出来る人』になりつつあるようだから」と鳥飼久美子は述べています(『「英語公用語」は何が問題か』角川oneテーマ21、2010年)。一昨日、合同求人説明会の帰りに難波の「ジュンク堂」でこの本を見つけてさっそく読んでみました。

 わたしが10月24日のブログで述べたように、鳥飼は英語の一人歩きには反対の立場をとっています。「日産」や「ユニクロ」、「楽天」が英語を社内の公用語とする動きに対して、鳥飼は、それを「英語帝国主義」と指弾し、「英語帝国主義」の危険性について2つの点を指摘します。第一は、「イングリッシュ・ディヴァイド」と呼ばれるもので、「英語の出来る人間」が「英語の出来ない人間」を差別し、特権意識を持つようになることです。第二は、「英語帝国主義」によって文化の多様性が損なわれるというものです。「人間は誰でも自分の母語で話す権利があること、言語の価値はその言語を話す人間の数で決まるのではなく、たとえ話者が少ない言語であっても人類共通の財産であり大切に維持し絶滅から救う価値」があり、「言語というのは単なる道具ではなく、人間にとっては言語そのものが思想であり、文化であり、人間としての存在の拠り所」(前掲書)とのべます。

 スイスには、4つの公用語があります。一番話者の多いのがドイツ語ですが、スイスの人口の0.5%に満たない話者しかいないレトロマンス語も公用語となっています。レトロマンス語はラテン系の言語で、古代ローマ時代にスイスに移住したラエティア人に起源をもつ言語です。このように話者の少ない言語でも言語は民族と文化のあかしであり、多文化共生の時代にあって切り捨ててしまえる性質のものではありません。まして、日本語は話者も多く、日常の会話には日本語でしか表現できないことがらも多く存在します。「梅雨」と聞いて私たちは6月のじめじめとしたうっとうしい季節をその体感とともに思い浮かべますが、rainy seasonと聞いて同じ情感を思い浮かべることができるでしょうか。「イネ」と「米」「ご飯」「おこわ」「かゆ」「雑炊」「おじや」をどのように英語で表現するのでしょうか。

 わたしたちは、日本語で考え日本語で表現します。グローバル社会の「共通語」が英語であるとしても、はじめから英語で考え英語で表現する必要はありません。それをあとから英語に通訳したり、翻訳したりすればいいのです。「『英語は出来るけど仕事は出来ない人と、仕事は出来るけど英語は出来ない人』」のうち、仕事が出来るのは「仕事は出来るけど英語は出来ない人なのです。社会では、仕事の中身が大切ですので、「英語の出来ない人」は専門の「英語屋さん」に「英語」にしてもらえばいいのです。
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北海道大学「総合入試」

2010/11/17 Wed (No.148)

 2011年度の北海道大学の入学試験に「総合入試」が導入されます。「総合入試」というのは、学部の枠を取り払って、「文系」・「理系」のおおくくり枠で募集をおこなうものです。

 今でも北海道大学では、学部を問わず、入学してから3セメスター(1年半)の間、高等教育機能開発総合センターで基礎科目や教養科目の授業を受けることになっています。そしてそののち各学部での専門教育が始まります。Allgemeinbildung(一般教養) とFachausbildung(専門教育)の区分けがきちんとなされており、かつての大学教育の理念を継承しています。学生の一年間の履修単位数に上限を設けるなど、大学らしい大学を標榜しているように思えます。

 来年実施される「『総合入試』では、まず文系や理系の総合入試枠で受験し、本人の希望と1年次の成績によって学部に移行するシステムです。入学後の1年間は、全員が『総合教育部』に所属し、幅広く教養科目や基礎科目を学びます」(総合入試案内・北海道大学アドミッションセンター)。文系では、前期、後期とも学部別入試がありますが、理、工、薬、農の各学部では、前期入試は「総合入試」のみで実施され、学部別入試は後期入試で補完的に実施されるにすぎません。

 高校では、現代文・古文・漢文・歴史・地理・政経・倫理・数学・物理・化学・生物・地学・英語など基本的な知識教育はおこなわれますが、大学での専門教育についてのオリエンテーリングはおこなっていません。そのため、学力のある生徒でも、各学部・学科で何を勉強するかの知識は驚くほど浅いものがあります。大学名のブランドで受験大学を選び、入学後どんなことをしたいのかのビジョンが希薄な生徒が数多くいます。そのため学部での勉強と自分の希望との違いから、やがて大学に出席しなくなる卒業生もみられます。諸星裕著『大学破綻 合併、身売り、倒産の内幕』(角川oneテーマ21、2010年)によると、かつてアメリカでは入学してからの学部選択のミスマッチが数多くあり、制度変革の結果、現在では70%の学生が入学後1-2年の後に自分の専門分野を変更していくそうです。その点「総合入試」は、入学後にさまざまな基礎科目を学ぶことにより、自己の希望と適性にあった学部・学科を選び取ることを可能にしているといえます。

 また、大学に入学した学生は、それまでの受験勉強から解放された安堵感に満ちあふれ高校3年生の時のようには勉強をしなくなります。入学したら、思い切り羽根を伸ばそうという思いでいっぱいです。しかし、大学1年間の成績によって学部が決定されるなら、学生は遊んでいるいとまはありません。AllgemeinbildungをおこないながらFachstudiumへと結びつけていくという連携が、この学部・学科決定方式によって、より容易になると考えられます。

 2011年の入試改革のゆくえを見守っていきたいと思います。
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プロフィール

Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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