大学教育への公費負担

2010/09/30 Thu (No.100)

 9月7日にOECDからEducation at a Glance 2010(『図表でみる教育』2010年版)が発表されています。それによると、OECD加盟国の高等教育機関(大学)に対する公財政支出のGDPに占める割合は、平均で1%となっています。ところが日本の公財政支出割合は、わずか0.5%にすぎず、OECD加盟28カ国中27位です。教育は100年の計といわれるのにこれでは、日本で優秀な人材が育つはずがありません。

 これと関連して、日本では、高等教育における教育支出に占める私費負担の割合が67.5%となっています。下のグラフをみてください。(出典 『図表でみる教育』2010年版)。これは、OECD諸国中ワースト4の割合です。高騰する授業料、増加する進学率と相俟って、この負担が家計を直撃する形となります。

教育支出(高等教育)

 大学の中には、大学の体をなしていない大学もあります。淘汰されるべき大学は淘汰されるべきだと思います。税金を「レジャーランド」に注ぎ込む必要はありません。しかし、研究教育機関として真摯に努力している大学には、もっと公費をつぎ込み、家計の教育負担を軽くするべきだと思います。
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大学学部新設情報

2010/09/29 Wed (No.101)

 代々木ゼミナールからデータリサーチVol.2が送られてきました。それにもとづいて学部の新設について少しお話ししましょう。

 2011年からの新設についてみてみましょう。定員を変更する学部は割愛します。認可が下りてないものもありますので、確定しているわけではありません。正確な情報については、必ず、募集要項で確認してください。

 国公立大学の学部の新設には、横浜国立大学(理工学部745名ただし工学部募集停止)、福山市立大学(教育学部100名・都市経営学部150名)、福岡女子大学(国際文理学部240名ただし文・人間環境学部募集停止)があります。

 私立大学の学部の新設は、関西圏の有名大学に限って述べます。京都女子大学(法学部100名)、同志社大学(グローバル・コミュニケーション学部150名)、龍谷大学(政策学部250名)、関西外国語大学(英語キャリア学部120名)、近畿大学(建築学部240名ただし建築学科募集停止)、武庫川女子大学(健康・スポーツ科学部150名ただし健康・スポーツ科学科募集停止)がそれにあたります。
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卒業後3年新卒扱い

2010/09/28 Tue (No.99)

 「卒業後3年新卒扱い」という記事が、昨日の朝日新聞朝刊に載っていました。卒業後3年間は、就職に関して、新卒と同じ扱いをするというものです。日本の求人は、「新卒採用主義」のため、新卒時に採用されないと、いちじるしく就職上不利な状況におかれます。そのため、就職活動に失敗して留年する学生も増加しています。読売新聞7月6日の記事によると、立命館大学で2010年卒業予定者の21%にあたる約2100人が留年したそうです。でもこれは、本末転倒ではないでしょうか。

 就活に備えるために、大学のキャリアガイダンスはどんどん前倒しになっています。本来、大学は4年間かけて教育を行います。1年半から2年の間、一般教養を学び、その基礎の上に立って専門教育を受けるというのが本来の大学のすがたです。しかし、学生は、専門教育が始まる3年次から、インターンシップやキャリアガイダンス、企業説明会や企業訪問と学業以外のことに忙殺され、専門科目の勉強をする時間がありません。このため、大学は本来の機能を喪失してしまっています。

 大学が、研究のための機関でなはなく、「レジャーランド」化して、もう相当の年月がたちます。そして今では、「レジャーランド」では就職ができないので、就職のための「予備校」化しています。大学1年の後期からキャリアガイダンスが始まっている大学もあります。かくして、キャリアガイダンスを早くから行わなければ、就職戦線で戦えない中堅大学以下の学生と、専門教育を行ってからでも就職戦線に勝ち残れる有名大学との学生との学識の差はさらに広がっていきます。

 大学での本来の教育を終えてからでも就職活動ができるという「卒業後3年新卒扱い」のシステムに、わたしは賛成です。就職活動に妨害されることなく、高い授業料に見合った大学での教育を受ける権利を学生に保障すべきです。朝日新聞では、3年分の就職希望者が殺到し、就職がさらに狭き門になると懸念されていましたが、それは一過性のもので、やがて平準化されます。卒業年度にとらわれることなく、学識と人物で採用するというシステムを日本の企業もとるべきです。
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授業料負担と家計

2010/09/27 Mon (No.98)

 日本の大学の授業料は、国立大学でさえも世界的にみて高額な部類にはいります。下の図をご覧ください。(出典 平成21年度文部科学白書) たて軸に国公立大学の授業料(米ドル)、よこ軸に奨学金を受けている学生の割合をとっています。

国公立大学の平均授業料と奨学金を受けている学生の割合

 日本以外の国々は、授業料が高いものの奨学金を受ける学生の割合が高いグループと、授業料が低く奨学金そのものの必要のないグループに分かれますが、日本はそのどちらにも属さず、授業料が高額であるにもかかわらず、奨学金を受ける学生の割合が少ないことがみてとれます。そして、この高額な授業料を家計で負担している家庭がきわめて多いのです。そのため、家計収入と進学率との間には、明白な相関関係があります。それをあらわしているのが、下のグラフです。(出典 同上)

年収別予定進路

 年間学費が100万円として、年収400万円の家庭では、授業料負担は重くのしかかります。しかし、年収1000万円の家庭では、余裕を持って進学させることができます。家計収入が多いほど大学進学率が高まり、家計収入が少ないほど高卒で就職します。

 このことが格差の固定化や貧困の世代間連鎖につながることがないようにしなければなりません。
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大学授業料の推移

2010/09/26 Sun (No.97)

 大学の入試検定料も高額ですが、授業料も高額です。70年代のなかば、わたしが学生だった頃、国立大学の学費は年36000円、私立大学の学費は年150000円でした。現在、それは、国立大学で54万円、私立大学で90万円です。国立大学で15倍、私立大学で6倍になったわけです。

 ではこの間に物価はどれくらい上昇したのでしょうか。次のグラフをご覧ください。上のグラフが大学授業料の推移、下のグラフが1975年を100としたときの指数です。1975年とくらべて、2007年では、物価は2倍、私立大学の学費は4倍、国立大学の学費は15倍となっています。(出典 平成21年度文部科学白書)

授業料の推移

大学授業料と消費者物価指数の推移

 国立大学の学費はひとまずおくとして、私立大学の学費でも家計に与える負担は、当時の2倍となったのです。1975年の大学進学率は27%、現在のそれは53%ですから、多くの家庭が教育費負担に苦しむのもうなづけます。
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進路ルーム

Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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