奨学金の返還

2010/08/24 Tue (No.60)

 わたしは、奨学金を利用して大学に行くことを勧めていますが、異なった意見を持つ先生もいます。その先生は、400~500万円の負債を抱えて人生を出発することに不安を感じています。去年、奨学金の返還額の約2割が滞納されており、日本学生支援機構は、奨学金の「貸し倒れ」を防ぐために法的措置を強化しています。昨年度、奨学金の返還を求めた訴訟は4233件あり、2004年と比較して、70倍を超える訴訟件数となっています。

 経済が右肩上がりだった時代には、奨学金を返還することにそれほど不安を感じませんでした。しかし、経済状況が急激に悪化した現在、まだ奨学金の返還が残っている社会人も多くいます。「返したくても返せない」状況が現れてきています。収入がへり、奨学金が返還できなくなった場合は、日本学生支援機構に連絡して返還を猶予してもらうことも可能です。そのまま放置しないで、連絡することです。

 大学は生き残りをかけて、学生を集める時代となりました。定員を充足しないと、経営が成り立たないのです。ある進路指導の先生は、学生支援機構ではなく、大学支援機構だといいます。学生に借金させて、大学の経営を助けているというのです。

 そこで、別の問題も近い将来出現すると思われます。大学全入時代の今、意識の低い大学生も増えました。モンスターペアレントが話題になりますが、モンスタースチューデントも少なからず存在します。安易な気持ちで奨学金を借り、就職活動も真面目に行わず、奨学金を「借り逃げ」しようともくろむのです。

 返還された奨学金は、また次の奨学生へと貸与され、経済的に大学に行けない人々の希望のともしびとなります。奨学金を貸与されている人は、そのことを考え、勉学に励み真剣に就職に臨んで下さい。
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奨学金の落とし穴

2010/08/23 Mon (No.59)

 奨学金には落とし穴もあります。
 
 まず第一回の奨学金が入金するのが5月から6月になります。したがって、入学手続きには間に合いません。予約奨学生に採用されたから、もう学費の心配はないと思っている保護者がおられますが、間違いです。AO入試や推薦入試の場合は11月までに、一般入試の場合は2月までに、入学金と前期授業料をあわせて100万円は用意しておく必要があります。

 つぎに、奨学金は学生が将来的に返済していく借金です。毎月一定額が入金されるからといって収入が増えたものと勘違いする学生がいます。8万円コースの奨学金を貸与されている場合、卒業後20年間にわたって毎月2万円ずつ返還していかねばなりません。経済不況の現在、きちんとした勤め口がないと返済がおぼつかなくなります。

 3ヶ月間奨学金の返済を延滞すると、個人信用情報機関のブラックリストにのり、クレジットカードが使えず、住宅ローンが組めなくなります。奨学金を申し込む際には、必要最低限の額にとどめておくことが必要です。
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日本学生支援機構奨学金(その4)

2010/08/22 Sun (No.58)

 大阪府で予約奨学金を申し込む生徒は、わたしの知っている範囲の300人規模の府立高校で100人から150人程度です。

 上位ランクの高校では、まず100%大学に進学します。以前は、経済的にゆとりのある家庭が多かったので、あまり奨学金は利用されていませんでした。しかし、リーマンショック以降は、急激に利用者数が増えました。ここ2年で、利用者が3倍くらいになり、奨学金担当者はてんてこ舞いの状態です。進学者の1/3が申し込んだとしても100人になります。

 下位ランクの高校にも、大学が生き残りをかけて学生を集めるために、なりふりかまわず指定校推薦をばらまいています。そのためAO入試や指定校枠を使って大学に進学する生徒が増えています。国公立の大学には合格できないので、私立に進学することになります。専門学校進学者も多いです。経済的に恵まれない家庭も多く、進学費用は大きなハードルとなります。そこで進学者のほとんどが奨学金申し込んでいます。専門学校進学も含めて150人くらいが利用します。

 中位のランクの高校では、半数以上の生徒が大学に進学します。また専門学校へ進学する生徒もいます。経済的には、恵まれた家庭も、恵まれない家庭もあります。ここでも多くのものが奨学金を申し込みます。だいたい150人くらいの応募があります。

 わたしは、進学予定の生徒に対しては、国公立を目指すもの、経済的に余裕のあるものも含めて、とりあえず、第2種の奨学金には応募するように勧めています。国公立を失敗する場合もあるし、途中で経済状況が急変する場合もあります。お金がないから、進学できないというのは、悲しすぎます。奨学金は申し込んだら、必ず利用しなければならないものではありません。11月に予約奨学生の採用通知がきても、手続きをせずにいれば、そのまま失効します。また、国公立に合格して、貸与金額を減額することも可能です。
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日本学生支援機構奨学金(その3)

2010/08/21 Sat (No.57)

 学生支援機構の奨学金には1種と2種の二つがあります。下にその概要をあげます。
奨学金
 1種は無利子ですが、高校2年生までの成績が3.5以上でないと申し込むことはできません。競争があり、実際に採用されるためには、評定平均4.3くらいは必要なようです。

 2種は3~12万円の間で貸与額を自分で選択して申し込みます。私立大学の医・歯学課程は4万円、薬・獣医学課程は2万円の増額が可能です。申し込めば、ほとんど採用されます。年収制限もゆるく、この収入を超える人を探す方が難しいくらいです。利子は3%以内と決められており、現在は毎月1%台で推移しています。

 そのほかに、1種と2種を併用して申し込むこともできます。その場合の年収制限は標準家庭のサラリーマンで693万円となります。
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日本学生支援機構奨学金(その2)

2010/08/20 Fri (No.56)

 下の表は、JSコーポレーションが2009年の8月から10月にかけて、大阪・広島・東京・神奈川の進学希望の高校生1678名に対して、日本学生支援機構奨学金についてたずねたアンケート結果です。(出典 JS進路データ Vol.365 一部省略)

学生支援機構奨学金
 奨学金の認知率は意外と低く、奨学金貸与の収入制限についてもかなり間違った認識がされています。大阪の高校では、口が酸っぱくなるくらいなんども、この奨学金のアナウンスをしていますので、たいていの生徒は知っているのですが、他の地域では、まだ十分認識されていないようで驚きでした。進路HRで伝達されていても、生徒本人は、上の空で聞いてないということも大いに考えられますけれども...。しかし、このブログをごらんのみなさんは、もちろんこの奨学金のことをご存知だと思います。

 高校3年のときに申し込む、予約奨学金のことについて書きます。進学先は、まだ未定で結構です。昨日のブログで述べた、対象とならない各種学校や一年制の専門学校以外の、大学・短大・専修学校に進学するものとして申し込みます。進学しなかった場合は、自動的にキャンセルとなります。

 申し込み時期は、高校3年生の春です。高校を通じた一括予約申し込みとなります。2種奨学金の場合は、秋に申し込むことも可能ですが、それぞれの高校で締切日(春一回だけのことも多いです)が決められていますので、それに従ってください。
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日本学生支援機構奨学金(その1)

2010/08/19 Thu (No.54)

 奨学金で一番有名で、利用者が多いのが、日本学生支援機構による奨学金です。日本学生支援機構は、かつては、日本育英会と呼ばれていました。じつは、わたしも大学・大学院と日本育英会の奨学金を借りていました。日本育英会には本当に助けられました。当時は、教師になると奨学金の返還が免除されたので、わたしの場合はとても幸運でした。現在は、大学院で貸与される奨学金に限って、ごくわずかの成績優秀者のみ返還が免除されることがありますが、それ以外に返還が免除されることはありません。

 学生支援機構の奨学金は、大学・短大・専修学校(専門課程)に進学する場合に利用できます。各種学校や一年課程の専門学校に進学する場合は、対象外となります。ペットスクールや調理師専門学校(一年制)などでは、貸与の対象とはなりません。たとえば、辻調理師専門学校は、料理界では有名な専門学校で、就職実績もすごくいいのですが、調理師本科は一年制で、学費が214万円かかります。保護者の中には、この学費の捻出に奨学金をあてにしている人もいますが、この場合、学生支援機構の奨学金は利用できません。それに対して理美容専門学校は、専修学校の専門課程なので、奨学金を利用することができます。

 進学する学校が奨学金貸与の対象となっているかどうかは、直接進学先に問い合わせてください。進学先が、大学や短大の場合は、問題なく奨学金貸与の対象となります。

 奨学金は、高校を通じて、高校3年の春に貸与の予約をします。4月の終わりには必ず奨学金についての連絡が学校でありますので、時期を見逃さないでください。予約をせずに、進学してから、申し込むこともできますが、進学先の大学・短大・専修学校それぞれで募集枠の制限があり、必ずしも採用されるとは限りません。しかし、高校からの予約奨学金(2種)は申し込めばほとんどの生徒が採用されます。
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就職担当者説明会

2010/08/18 Wed (No.55)

 今日は、奨学金について書くつもりでしたが、昼から大阪府下の高等学校の就職担当者への説明会があり、そこでの情報をお知らせすることにします。

 大阪労働局の話では、今年6月末の大阪府下の高卒求人数は、9082人で前年同月比7.3%増とのことです。しかし、ある理美容関係の一社が2000人の求人を出しているそうです。大阪では、全国規模で展開している会社も多く、これらの求人の就業地が必ずしも関西とは限りません。2000人の募集も、確認したわけではありませんが、おそらく全国規模での展開だと思われます。そこで、それをさし引くと、前年同月比16.4%減となります。
 
 一部で製造業が持ち直してきているとのうわさも聞きますが、まだまだ充分求人に結びついていませんし、企業団地が近くにない地域では、製造業の求人はもともとわずかです。

 ところで今年も、合同求人説明会が11月に行われます。120社の参加に向けて参加企業を募集しているとのことでした。例年、合同求人説明会は9月の一次募集で合格しなかった生徒を対象に、11月に一度行われてきました。

 ところが昨年は、11月と1月と2度にわたって合同求人説明会が催されました。11月の求人説明会には、84社が参加し、1746人の生徒が集まりました。それらの会社に応募したものは698名で、採用されたものは251名でした。1月の説明会に参加した会社は18社、207名の生徒が出席し、そのうち77名が応募し、38名が採用されました。

 合同求人説明会は、就職を決める大きなチャンスのひとつですが、昨年は、生徒の希望する職種の企業の参加が少なく、またたとえ応募しても採用にまでいたったのは、応募者の半数にも満たなかったです。

 今年も同様だと思います。ともかく9月の第一次募集に全力を傾けて、採用を勝ち取リましょう。
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プロフィール

Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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