求人数の減少

2010/07/24 Sat (No.29)

 連日35度近い猛暑が続いています。

 昨日、この春退職された先生の退職記念パーティがあり、その席で、何人かの進路指導の先生と話す機会があったのですが、異口同音に、求人数の減少を嘆いておられました。

 就職氷河期以後、リーマンショックが起こる直前までは、年とともに少しずつ求人数も回復し、200社を超える求人があった学校で、今年の求人数が80社程度だとおっしゃるのです。80社といっても、悪い言い方ですが、味噌もくそも一緒にした数です。その結果、生徒の希望する就職先が見つからず、就職をあきらめた生徒が出てきているとのことです。そのときお話したいくつかの普通科の学校でも、求人数が100社を超える高校は、ありませんでした。
 
 この数字は、学校に送付されてきた求人票の数で、指定校求人と公開求人の両方を含んでいます。指定校求人の求人票だけだと、その数分の一となります。

 日本では、中途就職の道は険しく、高校を卒業して、いったんフリーターになってしまうとなかなか正規就職の口を見つけることはできません。これから3月まで、就職希望の高校生に、就職を斡旋する日々が続きます。
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統一応募用紙

2010/07/23 Fri (No.28)

 近畿では、公正な採用を期すため、応募に当たっては、1971年以降、近畿統一応募用紙が使用されています。かつては、就職差別の事例が多く存在していました。統一用紙ができる以前、各社で使用されていた社用紙には、「家族構成・職業」「動産・不動産の資産状況」など本人自身の資質と関係がなく、就職差別につながる事項を記載する欄のあるものが見受けられました。統一用紙の履歴書には、氏名・生年月日・現住所・連絡先・学歴・職歴・資格・趣味・特技・志望動機、希望の職種の項目はありますが、それ以外の欄はありません。1973年から実施されている「全国統一応募用紙」もほぼ同一です。

次にあげるのは、近畿統一応募用紙の履歴書と調査書です。クリックしてください。大きくなります。

履歴書   調査書

 とはいえ、関西と関東で、就職に関して、少し異なる点もあるようです。応募前職場見学に際して、関西では事業所に見学生徒の名前をあかさないことになっているのに、関東では職場見学確認書に見学者の名前の記載を求めていたりします。その他、関西では禁止されている二段階選抜を行う企業があるという噂が伝わってきたりしています。本当かどうか、関東の先生から、ご連絡いただければ、うれしく思います。また、関東では、10月1日から複数応募(生徒が同時に複数の事業所に応募すること)が可能ですが、関西では、12月1日からとなっています。

 高校生の就職に関しては、関西の方が事業所に対して、より「イチャモン」をつけている割合が高い、あるいは、より人権意識が発達しているといえると思います。
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応募前職場見学

2010/07/22 Thu (No.27)

 求人票があらかた出そろうと、今度は、応募前職場見学の始まりです。応募前職場見学というのは、求人に応募する前に、事業所を訪問して、仕事の内容や職場の雰囲気を体験する機会のことです。応募前職場見学が可能な事業所は、求人票にその旨が記載されています。ほとんどの事業所が応募前職場見学を受け付けています。見学には、生徒に付き添う形で、教師も原則として同伴します。訪問した生徒に対して、事前選考につながるような質問を、事業所側からすることは禁じられています。また、生徒は、訪問した企業を必ずしも受験する義務はありません。今から6年前に、この応募前職場見学の制度が始まりました。

 皆さんは、七五三をご存知ですか。11月に行われる子どもの通過儀礼ではなく、学歴別離職率のことをいいます。すなわち、中卒の離職率は7割、高卒の離職率は5割、大卒の離職率は3割である、というのを、いいあらわしています。そして、少しでも、求職者と事業所とのミスマッチを少なくしようと、この制度か生まれました。

 応募前職場見学の制度が生まれる前は、企業訪問は担当の教師によって行われるだけで、就職希望の高校生は、一度も将来働くべき職場を見学することなく、求人票と就職担当の教師のアドバイスとだけに従って、受験する企業を決めていました。企業と高校とのパイプが太く、毎年同じところに就職ができていた時代は、それでもそんなに問題が生じなかったといえます。しかし、不況になり、求人数が急減してくると、どうしても公開求人やWEB求人を利用せざるをえません。そうすると、就職の担当教師も、企業訪問したことがなく、よく知らない企業に、生徒が応募する機会が必然的に増えてきます。

 実は、生徒も、当然のことですが、受験する企業についてもっとよく知りたいのです。そこで、応募前職場見学の出番となるのです。私は、この応募前職場見学の制度を肯定的に捉えていますが、批判される先生もいます。

 何しろ、とても手間がかかるのです。就職希望生徒の多い学校では、生徒と付き添い教師と事業所との3者ともに都合のよい日時を定めてアポをとるのが、とても大変です。1社に、複数の見学希望生徒がいるとしたら、もっと日時の調整が大変です。付き添い教師の確保も大変です。夏休みといってもクラブや夏期講習などがあって、教師の空いている時間は限られています。そして、この職場見学の実施を、夏休みに入った7月下旬から、受験企業を決定する8月上旬の間に、行わなければならないのです。就職担当の教師は、体が5つくらい欲しいと思っているはずです。また、これだけ労力を使って、職場見学を実施しても、離職率の改善がほとんど見られないという現実もあります。

 私は、就職希望者が少ないこともあって、なんとか、職場見学の日程を組みました。来週から、いよいよ生徒たちとの職場見学が始まります。
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求人方法(公開求人)

2010/07/21 Wed (No.26)

 公開求人は、どこの高校からも応募できる求人です。この公開求人も、高校宛に郵送で求人票が送付されてくる場合と、WEB上でのみ求人票を閲覧できる場合とがあります。また、その両方を行っている企業もあります。

 指定校求人と比べると、相対的に求人数が多い企業からの求人が、多くみられます。公開求人では、求人倍率の制限はありません。人気業種では、高倍率となりますが、すべての企業が、必ずしも高倍率になるとは限りません。そして、美容業や飲食業では、たいてい、この公開求人で募集が行われています。

 公開求人でも、高校に求人票が送付されてくる場合は、採用校や倍率の制約のある指定校求人での選考はしたくないが、推薦できる生徒がいれば、採用したいとのメッセージとも受け取れます。

 高校に、求人票が送付されてくる公開求人でも、同時にWEB上で閲覧できる場合が多くあります。求人票に「高卒求人情報WEBサービス」による全国の高校への公開の可否の欄があり、可に印が付いていれば、同時にWEB上で、全国どこからでも閲覧できます。
 
 WEB上の公開といっても、だれでもWEBを閲覧できるわけではなく、ハローワークから高校に送られてくるIDとパスワードが必要です。受験する場合も、高校に求人票が送付されてきている場合とまったく同様に、近畿統一用紙と呼ばれる履歴書を使用します。
 
 リーマンショック以降は、高校に送付される指定校求人と公開求人とだけでは、就職希望者の希望就職先を見つけ出すことが、困難となってきています。そのような場合、WEBを閲覧します。職種や就業地による検索をかけながら、求人情報を探すのです。しかし、高校生に人気の高い職種の場合は、全国の高校に公開されているため、倍率が高い場合が多く、他と比べて、ややリスキーな応募ということができます。
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求人方法(指定校求人)

2010/07/20 Tue (No.25)

 高卒生の求人は、各事業所からハローワークを通じて求人票が公開されます。7月1日が、求人票の公開開始日で、たいていの場合、その後1週間くらいの間に、ほとんどの求人票がでそろいます。しかし、今年は、求人票の枚数が、去年と比較してもさらに少なくなっています。先日、ハローワークの人とお話ししたところでは、昨年比7~8割の求人状況だそうです。

 ところで、求人には、求人募集先の高校を指定して求人を出す指定校求人と、高校を指定せず、どこの高校からも応募できる公開求人とがあります。指定校求人の場合は、求人票に、どこの高校に何名の推薦依頼をしているか、が記載されています。そして、応募者は、そこに記載されている他の高校の応募者を相手として、就職試験を受けるわけです。

 たとえば、ある企業の例では、4名を求人する際に、10校の高校にそれぞれ一人ずつ推薦を依頼し、その応募者の中から採用者を決定するという具合です。指定校求人の場合は、推薦依頼者に対する求人倍率が3倍以下に抑えられています。推薦依頼のあった高校から、必ず応募者が出るという保障はないので、実際の競争倍率は、もっと低くなります。

 また、毎年、ずっと同じ高校から、コンスタントに就業者が続いているような場合は、4名の求人を4校にそれぞれ1名ずつ割り振っている場合もあります。この場合は、よほどの場合を除いて、不合格になることはありませんが、高校の就職担当者は、今後のおつきあいのことも考えて、推薦するべき生徒を校内で選考します。高卒求人では、採用が内定した場合は、必ずその企業に就職するというルールがあるからです。

 就職希望の生徒は、まず、この指定校求人の中から、自分の希望にあった求人を探すわけです。

 ところが、高校によっては、この指定校求人の数がほとんどないところもあります。それは、就職者が少なくて、毎年、コンスタントに一定の企業に指定校求人を依頼できないような進学校です。たとえ企業から、指定校求人の募集がきても、それに応募しない状況が長く続けば、企業に対して迷惑がかかるばかりか、他校の生徒の応募の機会も奪ってしまうことになるからです。したがって、進学校だから、いい就職の機会があるだろうというのは、実際は誤りです。そのような場合は、どこの高校からでも応募できる公開求人を利用することになります。

 公開求人については、また日を改めて書くことにしましょう。
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オープンキャンパス

2010/07/19 Mon (No.24)

 三連休が終わろうとしています。明日20日は終業式です。夏休みになると、多くの大学・短大・専門学校で、オープンキャンパスが頻繁に行われます。とはいえ、6月から、オープンキャンパスを、何度も何度も、開催している学校もあります。
 
 オープンキャンパスというのは、学校を開放して、学校説明会や模擬授業を行ったり、学生が校内を案内したりして、その学校をアピールし、生徒に受験・入学してもらえるように働きかけるイベントです。高校卒業生の人数より、大学・短大・専門学校の入学定員のほうが多い現在では、あるレベル以下の大学・短大・専門学校では、学生を確保しなければなりません。そのような学校では、学食での無料昼食券や図書カードの進呈など至れり尽くせりの特典もついています。もちろん、現在では、難関大学でも、オープンキャンパスを開催しています。
 
 百聞は一見にしかず。私は、少なくとも3校のオープンキャンパスに出かけることを薦めています。生徒のアンケートを見ても、進学先を決定した理由の第一位が、オープンキャンパスの印象となっています。
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知的生産の技術(その2)

2010/07/18 Sun (No.23)

 『知的生産の技術』を読みました。現代を先取りするような魅力的な文章がたくさん並んでいます。
 
 「知的生産というのは、頭をはたらかせて、なにかあたらしいことがら―情報-を、ひとにわかるかたちで提出することなのだ」「情報産業こそは、工業の時代につづくつぎの時代の、もっとも主要な産業になるだろうと、わたしはかんがえている。」
 
 今の私たちから見ると当然の帰結のように思える情報化社会ですが、この本は、1969年に書かれています。いまでは、私たちにとって、ホームページやブログそしてツィッターなど、情報発信がとても身近な時代になりました。だれでも「知的生産」ができる時代です。しかし、その「知的生産」の中身については、玉石混交で、まだまだ問題が多いといえます。
 
 梅棹先生は、何かを思いつくとすぐさまカードに書きとめる、ということを提唱され、そのために、B6判の大きさの京大型カードを発明されました。「カードにかくのは、そのことをわすれるためである。わすれてもかまわないように、カードにかくのである。標語ふうにいえば、『記憶するかわりに、記録する』のである。」そして、「カードはくりかえしくることがたいせつ」で、「いくつかをとりだして、いろいろなくみあわせをつくる。」そこで「さらにあたらしい発見がもたらされる。」とおっしゃいます。
 
 では、知的生産の技術について、梅棹忠夫はどのように述べているのでしょうか。知的生産を行う際には、主題に関係ある事柄を、カードや資料や本からの知識もふくめて、思いつくままに、B8判の紙一枚一枚に、一項目ずつ書いてゆき、一通りでつくしたらと思ったら、それらを机の上に並べてみる。そして「論理的につながりがありそうだとおもわれる紙きれを、まとめてゆくのである。何枚かまとまったら、論理的にすじがとおるとおもわれる順序に、その一群のかみきれをならべてみる。そして、その端をかさねて、それをホッチキスでとめる。これで一つの思想が定着したのである。」
 
 この方法を「こざね法」と呼んでおられますが、「こうゆうふうにしてできたこざねの列を、何本もならべて、みだしをみながら、文章全体とてしての構成をかんがえるのである。」そして、「ここまでくれば、もう、かくべき内容がかたまっただけでなく、かくべき文章の構成も、ほぼできあがっている」と述べておられます。
 
 今こうして、『知的生産の技術』を再読して、40年という年月を超えて、その叙述にまったく古さを感じません。カードをコンピュータに置き換え、書き溜めた断片や、いろいろのデータをつなぎ合わせながら、文章を構成していく。コンピュータでなら、断片の順序の組み換えや、バリエーションの追加や削除も簡単です。文章構成のための方法論について、これほど有用な示唆があったことについてふただび驚いています。

 しかし、実際ところ方法論や発想法にすぐれた技法があっても、思考が貧弱であり、述べるべき豊かな内容がなければ、優れた文章は生まれこないことも事実です。私の場合が、まさにそうでした。いくら「こざね」を作ってならべてみても、小学生の作文のようで、新たな発想にはいたりませんでした。
 
 また、梅棹忠夫は、「おわりに」のなかで、「今日までのしつけや教育は、物質の時代には、うまく適合していたであろうが、あたらしい情報の時代には、不適切な点がすくなくないであろう。情報の生産、処理、伝達について、基礎的な訓練を、小学校・中学校のころから、みっちりとしこんでおくべきである。ノートやカードとつけかた、整理法の理論と実際、事務の処理法など、基本的なことは、ちいさいときからおしえたほうが、いいのではないか。」と述べています。

 十年一日のごとく、高校生に「ひからびた知識」を伝授している私にとって、耳の痛い言葉となりました。
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プロフィール

Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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