早すぎる大学入試

2010/01/13 Wed (No.4)

 今日は、進路指導室に届いた「大學新聞(2010年1月1日号)」からの話題を中心にお話します。
 そのなかで、天野郁夫東大名誉教授は、日本の大学教育の問題点として、「就職活動の早期化」をあげています。すなわち、3年次の後期から就職活動が始まるようになったため、本格的な専門教育を受ける期間が非常に短くなり、「大学生は勉強する時間を奪われている」というのです。それは、「大学が教育改革をして、どんなにいい教育をしようと努力しても、教育の付加価値を学生が得られないことを意味」していると述べます。
 そして、「この問題を放置したままだと、専門性を持った人材を大学は輩出できませんし、10年、20年経過したときに非常に大きなダメージとなって、経済や企業全体に跳ね返り、効いてくるおそれがある」といいます。
 実質2年半の大学教育では、獲得される専門知識には限界があります。そして、日本の大学生のレベルは国際的に見ても、どんどん低下していくように思います。
 
 私は、同様のことが高等学校の教育においても見られると思います。すなわち、少子化に伴って大学が学生を早期に確保するために、入試の時期がどんどん早くなってきています。私が高校生のころは、私立大学の入試は2月、国立大学の入試は3月でした。そして受験勉強のためもありますが、それまでの間、高校でまじめに勉強をしました。
 しかし、いまやAO入試などという3年生の夏休み中に行われる入試も広く実施されるようになりました。そのため、本来高校3年間で学習すべきことが、学習できない状態です。3年間の学習期間が、実質2年半しかないのです。これでは、大学生と同じように、高校生の知識量もどんどん減少していきます。これは、大学による高校生の「青田買い」の状態といってよいと思います。AO入試や推薦入試で合格した生徒に対して、高等学校レベルの事前教育を行う大学もありますが、これこそ本末転倒だと思います。
 
 また、入試に合格した生徒は、どうしてもその後の勉強のモチベーションが低下します。卒業さえできれば、進学すべき大学はもう確保されているのです。このことはクラスの雰囲気にも影響を与えます。これから受験勉強をしようとする他の生徒の環境を破壊してしまうのです。

 このような、「大学入試の早期化」は、学生募集に躍起になっている大学と、できれば受験勉強を避けて通りたい高校生とのニーズにはかなっているかもしれませんが、結局のところ、高校生のレベルの低下を引き起こす大きな要因のひとつになっていると、私は考えています。


プロフィール

進路ルーム

Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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