中学校訪問

2016/11/25 Fri (No.1559)

 11月は中学校訪問の季節です。12月から中学3年生の個人懇談が始まり、志望校をだいたい絞り込むので、それまでに中学校を訪問して自校をアピールするのです。

 一昔前までは、公立高校の教師が中学校回りをするなど考えられませんでした。中学3年生のためのオープンキャンパスは行っていましたが、教師が学校案内のために通学区域の中学校に出向くことなどありませんでした。しかし、最近は、どの高校も中学校訪問を行っています。忙しい高校の先生たち、そしてそれに輪をかけて忙しい中学校の先生たちにとって、また一つ仕事が増えたのです。

 高校の進路指導室には、大学の担当者が次から次へと訪れてきます。カリキュラムの変更、入試制度の改革、独自奨学金の実施など自らの大学のアピールに懸命です。アポイントありの訪問もあればアポイントなしの訪問もあります。そのたびに進路指導部の教員は対応に追われます。同じことが、中学校を舞台に起こっているのです。

 先日、近隣の中学校をまわってきました。対応してくれた先生の中には、各高校の訪問にやや食傷気味の様子の方もいます。生徒指導や進路指導に忙しい中学校の先生にとって、有難迷惑なのかもしれません。それでもなかには、熱心に耳を傾けてくれる先生もいて、そんなときは救われた気になります。ともあれ、近年は、中学校訪問が義務のようになってきました。

2017年度大阪府立高校募集人数

2016/11/19 Sat (No.1558)

 2017年度大阪府の府立高校募集定員が発表されました。下の表をご覧ください。(出典 「朝日新聞」11月19日朝刊)

募集1募集2


 公立中学3年生の人数は昨年より約1319名減少しているため、公立高校全体で定員は1189人減少し、45985人の募集となります。また2018年度から能勢高校が豊中高校の分校に、西淀川高校と北淀高校、泉尾高校と大正高校とが統合されます。

 2017年度入試にも、いくつかの重大な変更点があります。入試が近づいてきたらまた折に触れて述べたいと思います。

絶対評価でも相対評価でも生徒を正しく評価することは困難

2016/10/18 Tue (No.1548)

 絶対評価は、定期テストの点数、提出物、授業態度、学習意欲などそれぞれに到達基準を定めてその基準に到達していれば一定の評価を与えるという評価方法です。したがってパーセンテージとは関係なく、多くの生徒に5や4を与えることが可能となります。しかし、中学校ごとに授業内容やテストの難易度など評価の基準が違うので、絶対評価にしたからといって必ずしも生徒の客観的到達度を評価することはできません。現在の状況では、絶対評価であっても、相対評価であっても生徒のもっている力を正しくはかることはできないのです。

 神奈川県では、中学校の調査書は絶対評価です。平成25年1月に神奈川県教育委員会は、2学期制では前期の、3学期制では1学期の学習評価を中学校ごとに公表しています。中学校によって評価に大きなばらつきがあります。とくに2学期制の中学校の評価を見ると絶対評価の矛盾が明らかになります。ある中学校では国語の評定5が43.6%もあるのに、別の中学校ではわずか1.1%しかなかったり、実技教科においても音楽の評定5が30.5%の中学校もあれば、2.3%の中学校もあります。体育や技術家庭にいたっては、評定5が0%の中学校もあります。

 このような中学校の評価を公平といえるでしょうか。中学校間に学力格差があるとしても、この評定を入試に使用することには、公平性を欠くと思います。大阪府の中学校がどのような評定の出し方をしているかはわかりませんが、評定が1違うと総合点で10点異なってきます。もし神奈川県のようであれば、5段階の絶対評価より、かつての10段階の相対評価のほうがより信頼できるように思われてなりません。

大阪府立高校入試の調査書

2016/10/17 Mon (No.1547)

 大阪府立高校の入学試験は毎年変更されています。それは、学力の高い地域の学力の高い中学生には有利で、学力の低い地域の中学生には、たとえ学力が高くても、不利に作用していきます。そして人気のあるいくつかの学力の高い高校と人気のない学力の低い高校との二極分化を生み出していきます。人気のない高校は廃校となるか統廃合の対象とされます。

 過去2年間に起こった高校入試の変更を調査書の取り扱いを軸としてながめてみることにしましょう。

 2015年度までは、全日制普通科の入試は学力検査、調査書それぞれ350点を満点とし、学力検査と調査書の割合を高校ごとに6:4、5:5、4:6にした700点満点で判定されました。調査書は10段階の相対評価でつけていました。この入試方式は、相対評価であったとしても2014年度まで学区制があったため、中学校間格差はそれほど大きくなかったと思います。

 2016年に、入試制度が大きく変わり、前期・後期の入試がなくなり、一般選抜に一本化されました。また学力検査、調査書それぞれ450点満点となり、学力検査と調査書の割合を高校ごとに7:3、6:4、5:5、4:6、3:7にした900点満点で判定することになりました。調査書の取り扱いは大きく変更されました。

 調査書は5段階の絶対評価となり、調査書に対して、「各中学校は、平成27年度全国学力・学習状況調査結果の平均正答率を活用し、在籍する生徒全体の学力状況に応じて『評定平均の目安』を 算出し、その目安の±0.3ポイントの『評定平均の範囲』内で調査書の評定を確定する。」という府内統一ルールが適用されました。絶対評価自体が客観的な評価基準があいまいである以上に、その中学校の個人の評定が、在籍する中学校の生徒全体の学力状況によって引きずられていくこととなりました。

 府内統一ルールについては次の表をご覧ください。(「学校選びの道しるべ (2015年4月16日)」 開成教育グループ より引用)

2016府内統一ルール

 中学校によって、努力していても評定が下がったり、努力していなくても評定が上がったりする現象が起きるようになったのです。

「全国学力調査」結果を内申に反映させることの姑息さ

2016/10/03 Mon (No.1542)

 9月29日文科省から、4月実施の「全国学力調査」(全国学力・学習状況調査)の結果が発表されました。大阪府の学力調査の結果の推移は、朝日新聞9月30日朝刊に載せられています。

全国学力調査2016

 これを見ると中学3年生の学力調査の結果が、昨年急激に上昇し、そして今年は一転して下降に転じているということがわかります。その理由は何でしょうか。今年の生徒は、昨年の生徒とくらべて学力が低下したということでしょうか。

 そうではありません。大阪府では、昨年度の中学3年生に対して「全国学力調査」の結果を公立高校入試の内申点に反映させたためです。これは唯一大阪府だけの入試制度改革です。そのため、昨年度の中学3年生は、塾や学校で過去の全国学力調査問題に取り組み、その結果、学力が急上昇したように見えるのです。まさに入試をえさに中学3年生の全国学力調査結果を向上させたのです。

 「全国学力調査」は、高校入試のための調査ではありません。そのため調査結果を高校入試に導入することには文科省からクレームがつき、今年度大阪府はしぶしぶ「全国学力調査」の結果を内申点に反映させることを中止しました。入試というえさの効果はたった1年で消えました。当然のことながら、今年の中学3年生の調査結果は下降に転じたのです。

 「全国学力調査」の結果が今までで一番高かった昨年の中学3年生、すなわち今年の高校1年生の学力が、それまでと比較して高いのかというとそうでもありません。実際に高校で教えている立場から見れは、今まと変わった点はありません。そのことは、全国的に展開しているベネッセの「スタディサポート」の結果にも表れています。

 ところで、今年の中学3年生には、大阪府「中学生チャレンジテスト」という新たなテストが課されています。そしてこれを入試の内申点に反映させることになっています。このことの問題点は、また日を改めて述べたいと思います。


プロフィール

Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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