関西私立大学薬学部の志望動向

2012/12/28 Fri (No.941)

 薬学部の話が続いていますが、今日は関西の私立大学薬学部の志望動向と国家試験合格率について述べてみます。志望動向は、一般入試+センター利用の2013年度入試の対前年比の割合で「代ゼミ」の動向です。卒業率は2006年に入学した学生が2012年に卒業した割合(%)で「河合塾」から、合格率は受験者数に対する国家試験合格者(%)で「97回薬剤師国家試験」の結果から作成しています。表に一括とあるのは、6年制、4年制の一括募集をあらわします。また空欄はまだ卒業生がでていない大学です。

合格率

 私立大学の場合はほとんど6年制課程が中心で、上記の大学のうち4年制課程を併設しているのは、大阪薬科大、近畿大、武庫川女子大に限られます。

薬剤師の就職

2012/12/27 Thu (No.940)

 先日来お話ししているように、2013年度の薬学部は高い志望動向を示しています。薬剤師の養成教育が6年制に移行する過渡期に当ったため、ここ2年間は新しい薬剤師の供給がありませんでした。そのため今年初めて6年制の薬学部を卒業した薬剤師は、その隙間を埋めるかのように、就職も大変順調でした。2013年入試は、これに影響されての薬学部人気だと思います。

 しかし、来年からは今年のように薬剤師の就職が保障されているとは限りません。6年制に移行してからも大学薬学部の新設は続いており、やがて供給過剰の時代が来ることが予想されます。今後、病院や薬局で調剤に携われる薬剤師としての需要はそれほど多くありません。ドラックストアでは登録販売者が一般用医薬品の販売を行い、薬剤師を置かなくなりました。薬剤師の資格を持っていても薬剤師として働けなくなる時代がやがてやってくるかもしれません。私立大学では6年間で1000万円以上の学費のかかる薬学部です。資格があれば何とかなると思っていると、とんでもないことになる可能性もあります。

薬学部4年制課程と6年制課程の違い

2012/12/26 Wed (No.939)

 昨日お話しした薬学部には、4年制の課程と6年制の課程があります。国公立大学では両課程を設置していても4年制課程の募集人数が6年制課程よりはるかに多く、私立大学では6年制課程しか設置していないところが多いです。6年制課程と4年制課程では、その目的とするところが違うのです。

 昔のイメージである薬剤師養成機関は6年制課程となります。すなわち薬剤師になるためには6年制の課程を卒業する必要があります。学部4年の時に薬剤師の基本的能力を問う共用試験を受験し、それに合格したものが22週にわたって実務実習をうけ、そののち薬剤師国家試験に合格する必要があります。共用試験はほぼ100%の合格率、薬剤師国家試験は70-90%の合格率ですから、大学薬学部に進学すればほぼ薬剤師になることができます。

 それにくらべて4年制課程の薬学部は、企業就職や大学院進学を目指すひとのためにあります。医薬品の研究開発分野はどんどん発展拡張しています。薬剤師としての実務には携わらない研究を主体とした仕事につくことが目的です。ですから当然大学院への進学を視野に入れる必要があります。国公立大学に4年制課程が多いのも、大学院への進学が多いからです。

 ただし、現在は経過措置として4年制課程から薬剤師になる道がないわけではありません。2017年度学部入学生までは、4年制課程卒業後に修士課程を経て薬剤師になる方法もあります。しかし修士課程修了後に共用試験と実務実習があり、薬剤師になるためには最低でも8年間かかります。

薬学部人気大ブレイク

2012/12/25 Tue (No.938)

 2013年度の大学入試では、しばらく不人気であった薬学部の人気が急上昇しています。国公立大学薬学部の志望動向を載せておきます。下の表をご覧ください。今回は代ゼミと河合塾のデータをもとに作成しました。(出典 「第2回大学入試研究会」代ゼミ 「第3回大学入試情報分析報告会」河合塾)

国公立薬

 これらの大学のうち東北大・千葉大・金沢大・静岡県立大・徳島大は6年制・4年制の一括募集です。その他の大学は課程別募集ですが、志望動向は6年制と4年制を合算して計算しました。また静岡県立大・岐阜薬科大・名古屋市立大は中期日程の募集です。昨年比120%以上の大学には青の網掛けをしています。

管理栄養士合格率の示すもの

2011/08/18 Thu (No.430)

 新しい管理栄養士国家試験は2006年(平成18年)に始まりました。第20回国家試験です。そのときの合格者数は5504人で合格率は26.8%でした。その後合格者数は漸増し、2010年(第24回)で合格者数8058人で合格率32.2%、2011年(第25回)の合格者数は8058人で合格率は40.5%です。下のグラフをご覧ください。(出典 旺文社 教育情報センター 平成23年5月)。

管理栄養士


 ところで大学ごとの管理栄養士国家試験の合格率は、かなり恣意的に操作できます。合格可能な学生のみ受験させ、合格不可能な学生は受験させずに留年させることもできるからです。大学の本当の実力を見るのに、卒業者全数に対する国家試験合格率を指標にすればよいのかというと、これも難しいものがあります。食物栄養学科の学生の中には、企業就職したり、進学するものもいるからです。一流大学の学生に多いパターンです。

 わたしは、大学入試の倍率も参考にします。食物栄養系人気の中で、入試倍率が2倍に満たない大学は、実際の国家試験においては苦労する受験生が多いと思います。8月11日のブログの一覧表に載せた国家試験合格率が高く、かつ4倍以上の入試倍率のある大学は、まあ大丈夫だと思います。

管理栄養士合格率が高い大学

2011/08/11 Thu (No.425)

 リーマンショック以後、看護系・教員養成系など資格を取れる学部に人気が集まっています。私立大学で管理栄養士国家試験が受験できる食物栄養系の学部(学科)では、2010-2011年度の入試倍率はずいぶん高くなっていました。下の表をご覧ください。関西で上記の学部(学科)の2011年の入試倍率が4.0倍を超える大学です。表の右側は管理栄養士国家試験合格率を示します。合格者/受験者の割合です。(出典 蛍雪時代8月号 第24回・第25回管理栄養士国家試験結果)

管理栄養士

 上記以外に、入試倍率は低いものの国家試験合格率が80%をこえる大学には、兵庫大学、帝塚山大学、甲子園大学があります。


プロフィール

Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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