2019年大阪府立高校の統廃合

2017/09/02 Sat (No.1629)

 9月1日、大阪府教育委員会は、2019年度から府立高校2校の統廃合と1校の改編を発表しました。柏原東高校と長野北高校とが3年連続で定員に達してないということで、八尾翠翔高校と柏原東高校が八尾翠翔高校として八尾翠翔高校の敷地内に統廃合、長野高校と長野北高校が長野高校として長野高校の敷地内に統廃合されます。また枚方なぎさ高校が総合学科制に改編されます。

 八尾翠翔高校は2002年、府立八尾東高等学校と府立八尾南高等学校が統合された高校、枚方なぎさ高校は2004年、枚方西高等学校と磯島高等学校とが統合されてできた高校です。

2018年大阪府立高校の統廃合

2016/09/21 Wed (No.1535)

 9月初めに大阪府教育委員会は、2018年度から府立高校2校の統廃合と1校の分校化を発表しました。泉尾高校と大正高校が泉尾高校の敷地内に統廃合、北淀高校と西淀川高校が北淀高校の敷地内に統廃合されます。また能勢高校が豊中高校の分校となります。いずれの高校も今年の入試では定員に達していませんが、実際に統廃合される高校の生徒や卒業生にとってはやりきれない思いがあると思います。

 大阪府の中学3年生の数が年々減少しているので、ある程度の統廃合は仕方がないかもしれません。しかし、定員を充足しない高校は、統廃合の対象とはせず、勉学に対する生徒の意欲を引き出すために、募集定員を減らして少人数クラスを編成するという選択肢もあったはずです。大阪府では、今年の入試では池田北高校と咲洲高校が募集を停止しました。

 文理学科を有する進学校を優遇し、教育状況の困難な高校を切り捨てていくことは、公教育の正しい道といえるのでしょうか。

追記 最初の記事では、2校の統廃合を2017年度としていましたが、2018年度の誤りでした。訂正してお詫びいたします。2017年度募集停止となるのは西淀川高校です。

 

教員の間でも二極分化が起こっている

2015/03/08 Sun (No.1459)

 卒業式が終わり、3年生たちが巣立っていきました。数年前から、教員の大量退職に伴って、新採の先生が増えてきています。今年の3年生の担任団は、はじめて、新任の先生が過半数を超えました。経験が少ない分、夜遅くまで残って仕事をしてくれています。これからは、このようにがんばる新任の先生がますます増えてくることだと思います。

 にもかかわらず、みていて何かぎこちない気がします。わたしたちが、アドバイスをしようと思っても、なかなか声をかけづらい雰囲気もあるのです。どこの職場でもそうかもしれませんが、ゆとり教育世代以降のひとたちは、「世界にひとつだけの花」として、叱られることなく、ONLY ONEの世界に生きています。経験に裏付けされていないにもかかわらず、「自信」を持っています。そのため、新しいことを始める場合でも、ほとんど、ベテランに相談することなく自分の見識だけで始めてしまいがちです。そして、何か、画期的なことをしているかのような意識を持つのかもしれませんが、「旧態依然」としたベテランたちとは距離を取ります。

 わたしたちと新任の先生とでは、親子以上の年の差があります。ですから、気軽に相談しにくいのもわかります。企業であれば、毎年一定数の採用があるので、ベテランと新人をつなぐ世代も一定数存在することでしょう。ところが、教育界では、大量退職時代に入って、はじめて、大量に新任の採用をするようになったのです。そのため、先輩と呼べるような中間の世代がほとんどいません。50歳代の教員集団と20歳代の教員集団と、ここでも二極分化しているのです。若い先生は、気がねもあって、自分たちと同じ若い先生たちとだけ相談して仕事をするようになります。若い世代が増えてきているので、それだけで一つの勢力となりうるのです。

 かつて、わたしたちが新任の教員だったころ、わからないことは学年主任の先生や分掌の部長先生によく聞きました。飲み会なども多く、そこで教えてもらったこともあります。コミュニケーションの機会が今より多かったといえます。また、あいだをつなぐ30代、40代の教員も多く存在しました。 

 現在の50歳代と20歳代といういびつな教員構成のなかで、どのように仕事を継承していけばいいのか、あせっているのは、ベテランの教員たちで若い先生たちは意外と平気です。昔と較べて仕事の量が格段に増えた現在、ベテランの教員にも若い教員にも、考える余裕がなくなってきているのかもしれません。

OECDで給付奨学金のない国は少数

2014/10/12 Sun (No.1427)

大学教育に対する公的支援について、もっと詳しく各国の比較をした表がウェブ上にありました。下の表をご覧ください。(出典 http://www.jcp.or.jp/web_jcp/html/data/oecd34.pdf)

oecd.jpg

 2012年秋に、それまで留保してきた、国際人権規約A規約中の「中・高等教育の無償化」に対する留保を、政府が撤回し、日本も、「無償教育の漸進的な導入」という人権規約に拘束されることとなりました。しかし、実際には授業料無償化には、ほど遠い状況です。高校の授業料の無償化にも、所得制限が付きました。大学では、確かに授業料減免措置、奨学金関係予算は、漸増しています。しかし、肝心の授業料の無償化は行われる気配がありません。人を育てるべき、高等教育に対して、日本が冷淡であることが、お分かりいただけると思います。

日本の大学教育への公的支援は教育ローンだけ

2014/10/10 Fri (No.1426)

 次に日本の公的支援の内訳を見てみましょう。今回も先日同様、OECDの資料によります。下のグラフをご覧ください。(出典 Public support for tertiary education (2011), Education at a Glance 2014 )

公的支援

 項目のうち、濃い水色が給付奨学金、薄い水色が就学・就労支援のための公的支出、黒色が教育ローンをあらわしています。ご覧になればわかるとおり、日本には給付奨学金の制度がなく、すべて教育ローンなのです。

大学教育に対する公的支援は貧弱である

2014/10/08 Wed (No.1425)

 それでは、大学教育(高等専門教育)に対する日本の公的支援は、諸外国と比べてどのような状態にあるのでしょうか。今年9月に、OECDから「Education at a Glance 2014」が公表されています。下のグラフをご覧ください。(出典 Relationship between average tuition fees charged by public institutions and proportion of students who benefit from public loans and /or scholarships/grants in tertiary-type A education (2011), Education at a Glance 2014 )

授業料

 このグラフは、縦軸に購買力平価を考慮した1年間の公立大学の学費(米ドル)、横軸に公的な教育ローン・奨学金・給付奨学金を受給している学生の割合を示しています。矢印は1995年と比較したときの動きです。日本の学費は、非常に高額で、また公的支援が少ないことが一目瞭然です。イギリス(とオランダ)を除くヨーロッパ諸国では、学費は日本の1/4以下であることがお分かりいただけると思います。また、このグラフの注記3には日本の学費は、国公立大学のものであり、実際には2/3を越える学生が私立大学等に進学している旨が書かれてあります。

大学中退の最大の理由は経済的困難

2014/10/06 Mon (No.1424)

 日本経済新聞の記事に、「2012年度に大学などを中途退学した人は全学生の2.7%にあたる約7万9千人で、原因は「経済的理由」が20.4%と最も多かったことが25日、文部科学省の調査で分かった。経済的理由の割合は前回調査の07年度より6.4ポイント増えた。文科省は『リーマン・ショック後に比べて景気は持ち直したが、状況改善にはまだ時間がかかる』とみている。文科省は経済的に苦しい学生を支援するため、無利子奨学金や授業料減免の対象者を増やす方針で、15年度予算の概算要求に盛り込んだ。」とあります。(出典 「日本経済新聞」 Web版 9月25日)。

 下のグラフを見てください。中退の最大の原因が、経済的理由となったのです。(出典 「朝日新聞」9月26日朝刊)

中退

 このような状況にある日本が、教育に力を注いでいる国とはたしていえるのでしょうか。大学の学費の高さは世界有数です。そしてそれに対する公的支援が非常に貧弱なのです。

 また前掲の日本経済新聞に、「日本学生支援機構の調査によると、学費が上がるなかで、保護者が支出する学費や生活費は減っている。00年度の年間支出額は平均156万円だったが、12年度は122万円に減少した。 奨学金利用者は増え、大学生の収入に占める奨学金の割合は00年度は8.5%だったが、12年度には20.4%に達した。」とあります。学生支援機構の奨学金制度は、確かに有用な制度なのですが、返還の義務があり、実際は奨学金ではなく、教育ローンなのです。


プロフィール

Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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