昨年度の入試から、総定員8000人を超える大学において、定員の110%を超えた入学者が出た場合に、私学助成金を全額カットするという政策が実施されています。今年はさらに厳しく入学定員をコントロールする予定でしたが、その政策は回避されました。とはいえ、昨年同様、今年の入試も、私学は入学定員を超過しないように合格者数を絞り込んでいます。
わたしの高校でも、今までの入試であれば合格するとみられた成績の生徒が、この一般入試で不合格になってきています。とくにその傾向が強いのが、、関大や近大の受験生です。同志社大学の合格者数は、例年とそれほど変わらないものの、中堅上位校である関大や近大に、合格しにくくなっています。より上位校をはじめ、関大や近大自身が、合格者数を絞り込んだ影響が出ています。
近大に不合格であった場合浪人するという生徒が多いわたしの高校では、今年は、浪人生が多く出そうです。まだ国公立大学の合格発表は残っているものの、今年は、厳しい受験状況となりそうです。
近畿大学をはじめとして大学一般入試の前期日程の入試結果が高校に郵送されてきています。近年、本当に近畿大学はむつかしくなりました。受験者の数も日本で一番多い状態が続いています。推薦入試を実施する関西の大学のなかでは一番難易度が高く、11月の段階で、高校のトップ校からも中堅校からも受験者を集めます。一般入試もまた目標校であったり、安全校であったりします。多くの高校の先生と話すなかで、近畿大学はむつかしくなったなあという感想をよく聞きます。
近畿大学を訪れると学生服姿のむくつけき応援団が一列に並んで「オッス」と挨拶するといったようなイメージは、もうとっくに過去のもので、近年の近畿大学は女子学生も多いです。キャンパスは広くはありませんが、きれいです。またマスメディアへの宣伝も上手です。ブランド力のある「近大マグロ」はもちろんですが、受験生などへのキャッチコピーも卓越しています。
「カミ頼みの受験はもうやめだ」「近大には願書請求しないでください」「近大は、エコひいきする大学です」というキャッチコピーは、2014年、願書による出願からインターネットによる出願に出願方法が変更されたときのものです。インターネット出願にすることによって出願料の割引もあり、一気に志願者が増加しました。
大手企業の人事担当責任者には、まだ年配の方も多く、関大のほうが近大より就職実績はいいですが、あと数年もすると序列は逆になっているかもしれません。
先日、大阪でTAP主催の「私立大学直前入試動向説明会」があり、参加してきました。関西の中堅大学6校による一般入試に向けた進学説明会です。今日はその中から、近大の話題にしぼってお話ししましょう。
近畿大学は、一般入試以外にも公募制推薦入試も行っています。偏差値的には関関同立のすぐ下に位置するので、生徒の上位層からも中間層からも受験者を集める大学です。2017年度の入試では、昨年と比べても920人の定員増をおこなっており、関西の私立大学では一番定員規模の大きい大学です。
近年の入試では、文高理低といわれ、文系学部の人気が高く、理系学部の人気が低くなっていますが、近畿大学の2017年度の推薦入試の志願者数にもそのことが顕著に表れています。2016年度の志願者数と比べて、文系全体で108.2%の志願者で、とくに総合社会学部では、124.1%の志願者となりました。文系では唯一、経営学部の志願者が減少しましたが、説明では昨年の公募制推薦入試の倍率が10倍を超えたため、今年度の推薦入試では出願を控えた傾向があるからだとのことでした。
これに対して、理系学部では、対前年比で理工学部では93.6%、建築学部では93.0%、薬学部では96.3%、医学部では96.9%と志願者が減少しています。農学部と生物理工学部では、のべ志願者数は増加しているのですが、学部内併願数も多いので、実人数では増加していないとのことです。また2017年は、医学部を除いて定員枠を増大させているので、理系学部では実質的にかなりの易化となると思われます。近畿大学の、理系学部の易化の傾向は、一般入試においても変化しないだろうとの説明がありました。
関西では、その年の受験傾向は、関西大学や近畿大学の入試に現れます。関西大学は推薦入試を実施していないので、現在のところ、この近畿大学の推薦入試結果が参考になると思われます。
受験生の皆さん、とくに理系の受験生の皆さん、2017年度の入試はチャンスがあります。妥協せずチャレンジ校を見据えて3月まで頑張ってください。
今日は、近畿大学前期B日程の合格発表がありました。高校にも受験結果が届いています。近年近畿大学は多くの受験者を集め、難易度が上昇しています。この生徒がというような生徒が、不合格であったりします。
関西大学に合格しているのに、近畿大学に不合格の生徒もいます。最近では、国立大学受験者の併願校ともなってきています。大学受験も、明日の国公立大学前期日程、そして3月初めの後期日程と、残すところわずかになってきました。
しかしまだまだ合格のチャンスはありますから、いまだ志を達成できていない受験生は最後の努力を続けてください。
景気が少し上向いているのか、2015年3月大学卒業者の就職率は、昨年より良くなっています。昨日、旺文社の『大学の真の実力2016年度用』が届きました。それを用いて、3年前のデータと比較照合してみました。どの大学においても、就職率、進路決定率は上昇しています。とくに産近甲龍の就職率、進路決定率が、関関同立に近づいてきているといえます。次は就職の中身を検討しなければなりません。
下の表をご覧ください。あわせて
2012年10月19日の記事を参照されると比較がよくわかると思います。
関西主要私立大学の2014年度入試の志望動向を見てみましょう。代ゼミと駿台での志望動向を表にしました。(出典 「出願指導ガイドブック」ベネッセ 「第2回大学入試研究会資料」 代ゼミ)

代ゼミと駿台では若干違いがありますが、関西では関関同立はほぼ昨年通り、産近甲龍では京都産業大学が志望者を集めている以外はほぼ昨年並み、中堅大学では志望者が増加したところと減少したところがあります。同志社女子大学をのぞいて、女子大学の人気が落ちているのが気にかかります。
先日の高校の進路指導研究会での感触でも、2013年度の入試で産近甲龍クラスの中堅上位大学が難化したことは、中堅から中堅上位の高校の進路指導担当者の一致した見解のようです。
もともと同志社・立命館・関学に合格するレベルの志願者層は、テストの難易度や倍率にそれほど影響を受けません。国公立大学を第一志望とするものでない限り、それらの私立大学が目標校となっており、あまり受験校の選択に揺らぎがないからです。ですから、難関私立大学への合格者数は、中堅高校・中堅上位高校でも昨年とあまり変わらなかったようです。
ただセンター試験の得点が低かったため、難関私立大学受験者も中堅上位私立大学へも出願し、それにくわえて「人口ボーナス」の増加分が中堅上位大学から中堅大学を受験したため、倍率だけでなく難易度も上昇しました。進路研究会の報告でも、関大を含めて産近甲龍の合格者が減少した中堅高校が多くありました。
とはいえ、来年にはこの「人口ボーナス」はありません。2014年度はセンター試験も今年よりは易化するでしょうし、中堅大学の難易度は昨年並みに戻ることと予測します。