朝日新聞社から、2017年度の新卒採用計画が発表されています。(出典 「朝日新聞」 5月29日朝刊)


昨年より採用予定数を減少させた企業が増えましたが、それでもまだ売り手市場は続いています。
JSコーポレーションから、大学・短期大学の卒業生の進路について、5年間の推移をまとめたものが送られてきました。下のグラフをご覧ください。(出典 「大学・短期大学卒業生の進路 5年間の推移」 JS進路データ vol.568)

これを見ると、就職率が上がってきて、大学院進学者やフリーターなどの数が減ってきているのがわかります。わたしの高校でも、数少ない就職希望者も、全員第1次募集で就職が内定しました。少し、景気が持ち直しているのだろうと思いますが、大阪の巷で見ている限り、景気回復の実感はあまり感じられません。
今日の朝日新聞朝刊に「大学名の壁今も」と題して、大学生の就職に関しての興味深い記事が載っていました。企業はイメージの低下を恐れて公にしてこなかったが、昔も今も大学名を選考の材料にしているというものです。
説明会の参加にあたって企業が大学によって差をつける「学歴フィルター」がとくにインターネット上での就職活動において多用されてきています。企業にとって学歴がなぜ重要なのかについて、製薬会社の人事担当者は「受験勉強をくぐり抜けてトップ校に合格した学生は、自分を律して勉強を続ける能力がある。それは入社後も使えるし、一定の評価をするべきだ」と述べ、また流通業界の人事担当者も「トップ校に、採りたいと思う学生がいる確率が高いのは確か。採用の効率を考えたら学歴による選抜は合理的だ」と話しています。確かに、高校生の本務は勉強です。そして自分に課せられた課題を、着実にこなしてきたものが有名大学に進学できるともいえます。
しかし、高校時代に目覚める生徒だけではなく、大学に入ってはじめて目覚める学生もいます。また勉強だけが生きる価値ではありません。そのため、たとえば、ロート製薬は青年海外協力隊経験者に目をつけ、「知らない国に飛び込んで、一から仕事を始めた経験とマインドは魅力的」だとしています。また「書類選考だけで落とされる人たちにダイヤの原石が埋まってないとも限らない」とする企業もあります。「ナンバーワン採用」をとるソフトバンクでは、「一つの分野で頂に登ったひとは、困難に直面したとき、自分で壁を乗り越えてきた経験がある。それは必ず企業活動に生きてくる」とします。
高校で何をがんばったかだけではなく、大学で何をがんばったか、いや、今何をがんばっているのかが問われるのだと思います。また企業の採用については、「企業のために」働く「有意」な人間を採用するのですが、「会社」のために働くのではなく、自分のために働く生き方も魅力のあるものに思えます。
先日の「入試情報セミナー」において大学受験についての講演もありました。わたしも同感なのですが、近年、大学の二極化が進み、その傾向はますます増大しています。そしてこれからは大学を偏差値ではなく、将来の職業を意識して選択する時代が来るだろうとのことです。
私立大学で偏差値が通用するのは全国20大学程度で、関西では関関同立・産近甲龍がそれに当たり、その他の多くの大学は、AO入試や推薦入試で学生が入学するので、偏差値というものさしは当てはまらないといいます。
そこで大学の実力は「就職力」ということになると述べています。そして大学選びが人生を決めるともいいます。わたしは、「大学での学び」も重要だと思うのですが、多くの大学が専門学校化している今日、仕方がないことかもしれません。
ところで、就職に当たって第一に必要とされる能力は、「コミュニケーション能力」といわれて久しいです。そのコミュニケーション能力とは、好きな仲間と楽しく過ごせる能力ではなく、どのような人とでも交渉できる能力、いやな相手とでも一緒に仕事できる能力のことをいいます。それを獲得するためには、主体性や協調性、チャレンジ精神や誠実さが必要とされ、面倒なことでも引き受ける態度が要求されます。
「大學新聞」が11月20日に全国の大学の就職支援職員を対象にした調査によると、現大学4年生の就職内定率は59.1%で、昨年と比べて微増しているとのことです。就職内定状況についても「大いに良い」と「やや良い」を合わせて全体の43.2%とほぼ半数に達し、「やや良い」と答えた大学を対象に再集計したところ、大手企業よりも中小企業の内定数が増加していたそうです。(出典 『大學新聞』102号 12月10日 大学新聞社)。
リーマンショック以降、マイナビやリクナビに依存しない就職スタイルが増えてきています。WEB上の就職活動は倍率も上がりやすく、有名大学の学生に有利です。そして企業には学生の顔が見えません。
「大學新聞」によると、近年新しい就職活動スタイルとして、大学内に企業を招いて実施される「学内合同企業説明会」が脚光を浴びていて、調査に協力した79.9%の大学が実施していると回答しています。そして、学内合同説明会を実施している大学のうち47.8%が、内定状況が良いと回答しているとのことです。一方、学内合同説明会を行わない大学で内定状況が良いと答えたのは26.5%に過ぎないそうです。こうした結果から、一概には言えないものの人事・採用担当者との直接面談を行う学内合同説明会を実施した大学の就職内定率が相対的に高くなる傾向にあると結論づけています。
思うに、学内合同説明会に参加する企業は、その大学に求人を出したいという希望はあるでしょうし、学生も直に面談した企業に、より関心が向くのは当然です。どの企業に説明会に参加してもらえるか、大学の就職担当者の腕の見せ所だと思います。
この5年間の大学・短大卒業生の進路に着いてのデータが、JSコーポレーションから送られてきましたのでお知らせします。(出典 「大学・短期大学卒業生の進路 5年間の推移」進路データ vol.523 JSコーポレーション)

リーマンショック以降、就職状況が改善してきているのが見てとれます。
いつもは高卒の就職率を記事にすることが多いのですが、今日は大卒の卒業後の進路についてみてみましょう。グラフは進学者を除いた卒業生(医学科・歯学科を除く)に対する就職者の割合をあらわします。(出典 『大学の真の実力2014』 旺文社)

こうしてみると、どの地域でも地域に根差した公立大学の就職率が高く、また中部地区の就職率が高いことが見てとれます。