フリーターをなくすために

2010/08/08 Sun (No.47)

 高校3年の4月に進路希望調査をおこなったとき、いまだに進路未定とかフリーターとか書いている生徒は、要注意です。これらの生徒を進学も就職もしないまま、卒業させたくはありません。進路懇談を行います。また、外部から、講師を招いて、フリーターについての講演を依頼したりします。高校生にとてもわかりやすい講演をするファイナンシャルプランナーが京都にいらっしゃいます。

 フリーターになる生徒は、1.2年のときの進路行事も適当にやり過ごし、将来のことをあまり考えていません。「まあ何とかなるやろ」と思っています。そこで将来の姿について具体的に問いかけます。「5年後何してると思う。」「10年後はどうやろう。彼女(彼氏)おるやろ、結婚してるかもしれんなあ。」「親子3人で生活していくのに、年間なんぼかかると思う。」「10年後それだけ稼げてると思う?」「フリーターはいつまでたってもフリーターのままやで」

 大学にもぐりこませるか。就職させるか。5月までには、将来像を思い描いて、意思決定してもらわなければなりません。大学に行く場合は、そのころまでに奨学金を申し込まなければなりません。名前を書けば合格するような大学でも、学費はかかります。就職の場合は、就職登録をします。就職試験まで10~20回の就職講習がありますが、講習は5月から始まります。ともかく、自分で考えてもらわなければなりません。

 馬を水のみ場に連れて行くことはできても、水を飲ますことまではなかなか大変です。よい方法をご存知の先生いらっしゃいましたら、お教え願います。

進学も就職もしなかったもの(学校基本調査から)

2010/08/07 Sat (No.46)

 8月5日に文部科学省から、「学校基本調査(速報値)」が発表されました。新聞などで、高校生の、大学への進学率54.3%(過去最高)、専修学校(専門過程)への進学率15.9%、就職率15.8%(過去最低)、のニュースをご存知の方は多いと思います。

 では、このいずれにも当てはまらないひとはどうなっているのでしょう。それらのひととは、アニメーションスクールやペットスクールなどにあたる各種学校すなわち専修学校(一般過程)に進学したもの、テクノセンターなどの公共職業能力開発施設に進学したもの、不詳・死亡したもの、一時的な仕事についたもの、それ以外のものとなります。

 専修学校(一般過程)や公共職業能力開発施設に進学するひとと不詳・死亡したひとを除いた数が、いわゆるフリーター(アルバイト・パート)か家事手伝い・進路未定者の数です。じつは、この人たちの割合が7%あるのです。

 学校基本調査のデータをもとに、高等学校卒業者にたいする、アルバイト・パートと家事手伝い・進路未定のものの割合を、グラフにして見ました。下のグラフを見てください。フリーターと家事手伝い・進路未定者の割合が、リーマンショックを契機として、一昨年から上昇してきているのがわかると思います。家事手伝いや進路未定のものも、やがて働き出さなければなりません。これらの人もフリーター予備軍だといえます。
進学も就職もしなかったもの

 フリーターのおかれている不利な状況を、このブログで今まで何回か説明しました。フリーターや進路未定者を減らすには、どのようにすればよいのでしょうか。

企業からみたフリーター

2010/08/04 Wed (No.40)

 企業からみたフリーターは、「雇用の調節弁」です。景気がよく人手の欲しいときには、多くのフリーターを雇用し、景気が悪く人手が要らなくなると、解雇します。正社員だと、フリーターのように簡単に解雇する事ができません。

 フリーターから正社員への道は険しいです。『労働経済白書』2005年によると、「フリーターや若年無業者を正社員として採用しますか」という企業への問いに対して、「積極的に正規従業員として採用する」と答えたものが1.4%、「特に区別せず正規従業員として採用する」と答えたものが23.4%、「非正規従業員としてなら採用する」と答えたものが23.3%、「非正規従業員としても採用するつもりはない」と答えたものが41.8%となっています。4割もの企業がそもそもフリーターや無業者の採用を拒否しているのです。

 それでは、実際にフリーターから正社員になれる確率は、どれくらいあるのでしょうか。『国民生活白書』2005年によると、「パート・アルバイト」から「正社員」へ転職できる確率は、22.6%となっています。4.5人に1人しか、「正社員」になることができません。「正社員」から「正社員」へ転職できる確率が、62.5%であることを考えると、実際にもフリーターから正社員への道は厳しいといえます。

 
 履歴書に書く職歴も、腰を据えてやり遂げた仕事もないフリーターは、仕事をしてもいい加減で、責任感に乏しく、いつやめるかわからないので安心して採用できない、と企業は考えています。(下の図を参照 出典 『厚生労働白書』2009年)しかし、有能なフリーターだっている、と反論されるかもしれません。確かに正社員以上に仕事のできるフリーターも大勢います。このような場合、企業はフリーターを正社員に引き上げることもあるでしょう。しかし、それよりも、このまま安い賃金で働かせておいた方が、はるかに企業にとっては利益が上がるのです。

フリーター経験の評価

 かくして、フリーターはなかなかフリーターから脱出できません。若いあいだはともかく、中年になっても給料は上がらないし、若いフリーターに仕事を奪われるし、仕事のやりがいもないし、生活のために長時間労働やかけもち労働を強いられるし、ワーキングプアの一員となっていきます。

 EU諸国では、「同一労働同一賃金」が原則です。そのため賃金は、仕事の内容に応じて支払われています。しかし、日本では、同じ労働に対しても、正社員とフリーターの二重価格制になっています。このことが、賃金面のみならず、意識面でも正社員とフリーターを分断し、ワーキングプアをなくすための社会の変革を難しくしています。

 自分にあった仕事がなかったら、いま無理に就職しなくても、いちどフリーターでもして、就職はあとから考えてみたら、とおっしゃる保護者の方も多いです。しかし、日本の現実はそんなに甘くありません。高校卒業のときに、進学か就職かきちっと進路を決定しておく必要があります。

フリーターと賃金

2010/08/03 Tue (No.39)

 高卒用求人票に自分の希望する就職先をみつけられなかったり、就活の厳しさに途中でドロップアウトしたりして、卒業後、フリーターとなる生徒がいます。また、勉強にあまり興味がなく、アルバイトで、そこそこの給料をもらい、そのままずるずるとフリーターとなる生徒もいます。

 昔のフリーターは、ミージシャンやアニメーターなど「夢追い業」でした。売れることによって世間に認められ、それで生活ができるようになるまで、コンビニや居酒屋でアルバイトして食いつなぐのです。

 今のフリーターは、「なんとなくフリーター」です。居心地がいいのです。高校を卒業して正社員として、企業に採用された場合、手取りは13~14万円です。残業もあるし、毎日働かなければなりません。責任もあります。自分の都合で仕事時間をシフトさせることはできません。しかし、フリーターは違います。一時間900円の時給で、一日6時間、月に25日働いたとします。それで一月あたりの収入は13万5千円。事前に連絡すれば、仕事時間の融通もききます。親元で生活しているなら、なんとも魅力的でありませんか。

 しかし、フリーターは若いあいだが花です。店にとっても、20歳前後の若くてはつらつとした人材を安く雇えるとしたら、大歓迎です。しかし、10年間はたらき続けられるでしょうか。10年たてば若さも色あせ始めます。マクドナルドのカウンターに、30歳を越えた女性を見たことがありません。つぎつぎと新しいフリーターが供給されるのです。

 生涯賃金で比べると、一番みじめなのは、フリーターです。UFJ総合研究所の統計資料では、フリーターの年収は105万円となっています。また厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、正規雇用者の平均生涯賃金が2億791万円なのにたいして、フリーターなどパート労働者の平均生涯賃金は4637万円であり、その差は1.6億円に上ります。若いときはフリーターと正規労働者との賃金格差は大きくなくても、結婚をし子どもを育てる年代になると格差が大きくなってくるのです。

 いま、若者の5人に1人がフリーターといわれる時代です。キャリアについてしっかりしたかんがえ方を高校時代に身に付けさせていきたいと思っています。


プロフィール

進路ルーム

Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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