企業定着率

2012/05/12 Sat (No.706)

七五三という言葉があります。11月の年中行事ではありません。中卒・高卒・大卒の離職率をあらわした言葉です。中卒で7割、高卒で5割、大卒で3割が就職後3年以内に離職することを示しています。

『ユースフル労働統計2012』がウェブに上梓されています。そのなかに大学・大学院卒と高校卒の男性の企業定着率を比較したグラフがあります。最近10 年間(2000~2010 年)を5 年ごとに二つの期間(2000~2005 年、2005~2010 年)に分けて、それぞれの期間ごとに定着率を算出しています。

定着率

 これを見ると5年前より現在の方が、大学・大学院卒、高校卒とも定着率が低くなっていることがわかります。


大卒と高卒の初任給

2010/12/25 Sat (No.190)

 わたしは以前に高卒と大卒の賃金格差について述べたことがあります。それは、働き盛りの年齢での賃金格差(8/1)と生涯賃金格差(8/2)に関するものです。それでは、初任給は高卒と大卒ではどう違うのでしょうか。高卒用求人票での初任給は、税込みで約15万円、手取りで大体14万円程度です。大卒ではどうなっているでしょうか。

 厚生労働省は、「学歴別にみた初任給」を発表していますので、下にあげておきます。表1を見るとわかるとおり、大卒と高卒では、初任給に約4万円の開きがあります。(出典「平成22年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況」2010年11月15日)
学歴別初任給

 その原因は、高卒の職場が中小企業で大卒の職場が大企業だからだと早合点してはいけません。同一学歴であれば、企業規模による初任給格差は考えているより小さいのです。下の表をご覧ください。表2の大企業とは従業員1000以上、中企業とは従業員100~999人、小企業とは従業員10人~99人までの企業をさします。(出典 前掲統計)
企業規模別

高卒と大卒の生涯賃金

2010/08/02 Mon (No.38)

 今日は生涯賃金の格差についてお話しましょう。資料の出典はすべて、ユースフル労働統計2010です。

 高校を卒業して、ずっと同じ会社に定年まで勤め続けた(標準労働者といいます)として、退職金を除外した生涯賃金がいくらになるかご存知ですか。男性で約2 億6 千万円、女性で約1 億9 千万円です。けっこう多いと思われるでしょう。
それでは、同じ条件で大卒・大学院卒では…。男性で3億円、女性で2 億6 千万円となります。下のグラフをご覧ください。
標準労働者の生涯賃金
 それでは、途中で転職した場合(一般労働者といいます)はどうでしょう。大卒・大学院卒の男性で2 億7 千万円となります。勤続年数が賃金に反映される傾向が強いといわれる日本では、転職により賃金が低下する場合が多いため、生涯賃金は標準労働者より若干低くなります。つぎに、男性についてのものしかありませんが、一般労働者の退職金と定年後もはたらいた場合の賃金を含めたグラフを見てもらいましょう。
一般労働者の生涯賃金
 上の二つのグラフを見てどのように感じられましたか。定年までの総労働時間が高卒の男子で約9万3千時間、女子で約8万7千時間であるのにたいして、大卒・大学院卒では男子で約8万時間、女子で約7万5千時間であることを考えると、生涯賃金でも大卒と比べて割の合わない気がします。

高卒と大卒の賃金格差

2010/08/01 Sun (No.37)

  昨日は、高校生と大学生の就職先について書きました。今日は、学歴による賃金の違いに触れます。

  ここに揚げたのは、厚生労働省が、毎年、2月ないし3月に出している賃金構造基本統計調査結果を表にまとめたものです。上の表が平成21年度、下の表がその5年前の平成16年度の賃金です。表の「賃金」とは、6月に支給される現金給与額のうち、超過労働給与額を差し引いた額で、所得税等を控除する前の額をいいます。

賃金

 平成21年度の表から見ましょう。男女ともいずれの年代でも、大卒(大学院卒)のほうが高卒より賃金が高いです。そして、その差は、年齢が上がるとともに大きくなっていきます。30~34才男子で5.86万円の差であったのが、ちょうど高校生の親の年代である45~49才男子になると16.57万円の差となります。毎月16万円の収入の差はとても大きいといえます。年収にすると約200万円です。大学1年間の学費が、私立文系で約100万円ですから、この年代の大卒の労働者と高卒の労働者の収入の差の2年分で、子どもを大学に4年間通わせることができます。女子では、男子以上に差が大きいです。

 下の平成16年度の表と比較したとき、全般的には、平成21年度の賃金のほうが低くなっています。しかし、奇妙なことに大卒の労働者の45~49才の層では、男女とも平成21年度のほうが賃金が高いのです。女子では特に顕著です。教育費や家のローンなど一番負担の大きくかかる年代で、5年前より、今のほうが収入が多いのです。これに対して、高卒の労働者では、いずれの年齢層においても、現在のほうが賃金が低くおさえられています。

 その結果、5年前と比べて、大卒と高卒の賃金格差は、拡大しました。30~34才男子で5年前に5.36万円であった差が今は5.86万円に、45~49才男子で15.08万円であった差が16.57万円となったのです。

 もちろん今後のことはわかりません。格差がどんどん縮小していくという構図があるかもわかりません。しかし、現在のところ、経済的にかんがえて、大学に進学するほうが圧倒的に有利だと考えられるのではないでしょうか。

就職か進学か(どちらが有利)

2010/07/31 Sat (No.36)

 高校で就職するのと、大学で就職するのとどちらが有利なのでしょうか。

 偏差値50程度の中位の高校の、そのまた中位の成績の生徒が進学する大学の就職状況を調べます。全国の高校生のすべてが大学に進学するわけではないので、偏差値50の高校の中位の生徒が進学するのは、偏差値45程度の大学です。高校や大学には、それぞれの特色があり、いろいろ考慮しなければならない事情があるので、この比較は、本当におおざっぱな比較です。

 偏差値50程度の中位の高校では、就職者は全生徒の1割以下です。従って50社から80社程度の求人となります。もちろん銀行・商社などの求人はありません。公務員試験に合格するのは4、5人という程度でしょう。

 近畿の中堅大学の2校をあげます。2010年3月卒の就職先です。円グラフは、M大学の全学部生、下の表は、S大学の法学部生のものです。M大学の偏差値は47、S大学の偏差値は45です。偏差値が2違うと、かなり、就職先が違ってきます。いずれも大学のホームページから抜粋しました。

大学就職状況

 大学からの就職の方が、断然、就職先が広がっているのがおわかりだと思います。私は、大学に行くことが可能な生徒には、大学進学を勧めています。


プロフィール

Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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