昨日は、高校生と大学生の就職先について書きました。今日は、学歴による賃金の違いに触れます。
ここに揚げたのは、厚生労働省が、毎年、2月ないし3月に出している賃金構造基本統計調査結果を表にまとめたものです。上の表が平成21年度、下の表がその5年前の平成16年度の賃金です。表の「賃金」とは、6月に支給される現金給与額のうち、超過労働給与額を差し引いた額で、所得税等を控除する前の額をいいます。

平成21年度の表から見ましょう。男女ともいずれの年代でも、大卒(大学院卒)のほうが高卒より賃金が高いです。そして、その差は、年齢が上がるとともに大きくなっていきます。30~34才男子で5.86万円の差であったのが、ちょうど高校生の親の年代である45~49才男子になると16.57万円の差となります。毎月16万円の収入の差はとても大きいといえます。年収にすると約200万円です。大学1年間の学費が、私立文系で約100万円ですから、この年代の大卒の労働者と高卒の労働者の収入の差の2年分で、子どもを大学に4年間通わせることができます。女子では、男子以上に差が大きいです。
下の平成16年度の表と比較したとき、全般的には、平成21年度の賃金のほうが低くなっています。しかし、奇妙なことに大卒の労働者の45~49才の層では、男女とも平成21年度のほうが賃金が高いのです。女子では特に顕著です。教育費や家のローンなど一番負担の大きくかかる年代で、5年前より、今のほうが収入が多いのです。これに対して、高卒の労働者では、いずれの年齢層においても、現在のほうが賃金が低くおさえられています。
その結果、5年前と比べて、大卒と高卒の賃金格差は、拡大しました。30~34才男子で5年前に5.36万円であった差が今は5.86万円に、45~49才男子で15.08万円であった差が16.57万円となったのです。
もちろん今後のことはわかりません。格差がどんどん縮小していくという構図があるかもわかりません。しかし、現在のところ、経済的にかんがえて、大学に進学するほうが圧倒的に有利だと考えられるのではないでしょうか。