応募前職場見学での質問

2012/06/24 Sun (No.750)

 応募前職場見学は、就職希望の高校生にとって、就職しようとする職場を知る大変よい機会です。しかし、数年前から必ずしも教師の引率を必要としなくなったので、見学した事業所から生徒への直接の質問も散見されるようです。大阪では、事業所から生徒への質問は基本的に許されていません。とくに採用につながるような質問や個人的な質問はできません。他府県では生徒の氏名を明示するところもありますが、大阪では職場見学に応募した生徒の名前も事業所には明らかにしません。

 今年の「応募前職場見学報告書」には、「あなた自身のことについて事業所から聞かれたことがあれば以下に記入してください」という欄が設けられ、1.名前を聞かれた(ア 保険加入のため イ セキュリティーのため ウ その他 ) 2.住居とその環境 3.家族の職業 4.家族の関係 5.保護者について 6.家庭の環境 7.男女雇用機会均等に関して 8.健康状態 9.志望動機 10.志望職種 その他 の項目について、質問されたことがあれば記入するようになっています。

 これらの中には、就職面接の際でも、明らかな違反質問が含まれており、生徒だけで職場見学に参加した時の違反質問を封じる.意味があると思います。

応募前職場見学の実際

2011/07/28 Thu (No.410)

 多くの高校で応募前職場見学が行われているころかと思います。地域によって、応募前職場見学のスタイルにも違いが見られるようです。大阪では、職場見学に参加する生徒の氏名は公表しません。電話でアポをとり、担当者あてに日時、付き添い教諭、参加生徒人数を記した依頼文を送ります。職場見学まで、時間的余裕がないことが多いのでFAXで送信します。

 当日は、生徒から担当者への質問はできますが、担当者から生徒への質問はできないことになっています。とはいえ、生徒の印象が悪くなる場合もあるので、わたしは、差し支えのない質問で、質問に答えたいと思うのなら、答えてもいいよとは言ってあります。

 あらかじめ、応募前職場見学が選考につながらないように依頼するのですが、当然担当者にとっては最初の面接に等しいものです。そのときの第一印象が採用の可否に影響を与えないはずがありません。ですから、正しい服装、高校生らしい態度、明るく積極的な姿勢など応募前職場見学の前に仕上げておかなければいけないことも多くあります。

 職場見学が終わると、礼状を担当者あて送ることになっています。

P.S. 生徒についての情報は採用試験まで明らかにしませんので、この礼状は、担当教師が送ることになります。

応募前職場見学の効用

2010/07/30 Fri (No.35)

 この一週間、応募前職場見学に付き添ってきました。職場見学で一緒になった他校の先生とも少し話しました。どの学校の先生も求人数の減少を感じているようでした。

 私は、何社かの外食産業の企業を、生徒と一緒に見学しました。たいてい他校の4、5名の生徒と一緒です。担当者の話では、今年は希望者が多く、職場見学の機会を何度も設定しているそうです。飲食業は、休みが不規則で、立ち仕事が多く、終業時間も遅いため、生徒に敬遠される場合が多いのですが、今年は、異変が起きているようです。

 大阪の中心部にある飲食チェーン店の職場見学で一緒になった生徒は、なんと宮津から泊りがけで来ていました。舞鶴から見学に来ている生徒もいました。

 外食産業といってもいろいろで、それぞれの企業独自の経営方針があります。しっかりとしたマネジメントのマニュアルができており、むりのない勤務ができる店。ワンマン社長の経営方針のもと、社員が一丸となってしゃにむに働いている店。こぢんまりとした個人経営で、社員が和気あいあいと働いている店。さまざまです。
 
 職場見学に行くと、職場の雰囲気が体験できるだけでなく、自分の将来像が見えてきます。面接の方法や、作文のテーマを教えてくれるところもあります。なにより、職場を訪問することで、その企業に興味を持っているという、積極的な意思をアピールすることができます。たとえ企業側から、生徒の名前を聞いたり、質問することができなくても、採用試験の面接の際に、その生徒が職場見学に来ていたかどうかは、一目瞭然です。採用の際に、職場見学の有無を選考基準にしてはいけないとされていても、採用担当者も人間です。熱心に見学してくれた生徒には、甘くなるかもしれません。

 また、職場見学は、引率教師にも役立ちます。春、求人依頼に企業訪問した時には、応接室に通されて、会社概要と求人計画について説明を受けます。社員が実際にはたらいている姿を見せてもらえることはまれです。しかし、応募前職場見学では、生徒と一緒に約一時間、会社の沿革や仕事の内容の説明を受けたあと、実際の労働の現場を見学します。求人依頼の訪問では見えなかった、仕事や会社の実態をうかがい知ることができるのです。

応募前職場見学

2010/07/22 Thu (No.27)

 求人票があらかた出そろうと、今度は、応募前職場見学の始まりです。応募前職場見学というのは、求人に応募する前に、事業所を訪問して、仕事の内容や職場の雰囲気を体験する機会のことです。応募前職場見学が可能な事業所は、求人票にその旨が記載されています。ほとんどの事業所が応募前職場見学を受け付けています。見学には、生徒に付き添う形で、教師も原則として同伴します。訪問した生徒に対して、事前選考につながるような質問を、事業所側からすることは禁じられています。また、生徒は、訪問した企業を必ずしも受験する義務はありません。今から6年前に、この応募前職場見学の制度が始まりました。

 皆さんは、七五三をご存知ですか。11月に行われる子どもの通過儀礼ではなく、学歴別離職率のことをいいます。すなわち、中卒の離職率は7割、高卒の離職率は5割、大卒の離職率は3割である、というのを、いいあらわしています。そして、少しでも、求職者と事業所とのミスマッチを少なくしようと、この制度か生まれました。

 応募前職場見学の制度が生まれる前は、企業訪問は担当の教師によって行われるだけで、就職希望の高校生は、一度も将来働くべき職場を見学することなく、求人票と就職担当の教師のアドバイスとだけに従って、受験する企業を決めていました。企業と高校とのパイプが太く、毎年同じところに就職ができていた時代は、それでもそんなに問題が生じなかったといえます。しかし、不況になり、求人数が急減してくると、どうしても公開求人やWEB求人を利用せざるをえません。そうすると、就職の担当教師も、企業訪問したことがなく、よく知らない企業に、生徒が応募する機会が必然的に増えてきます。

 実は、生徒も、当然のことですが、受験する企業についてもっとよく知りたいのです。そこで、応募前職場見学の出番となるのです。私は、この応募前職場見学の制度を肯定的に捉えていますが、批判される先生もいます。

 何しろ、とても手間がかかるのです。就職希望生徒の多い学校では、生徒と付き添い教師と事業所との3者ともに都合のよい日時を定めてアポをとるのが、とても大変です。1社に、複数の見学希望生徒がいるとしたら、もっと日時の調整が大変です。付き添い教師の確保も大変です。夏休みといってもクラブや夏期講習などがあって、教師の空いている時間は限られています。そして、この職場見学の実施を、夏休みに入った7月下旬から、受験企業を決定する8月上旬の間に、行わなければならないのです。就職担当の教師は、体が5つくらい欲しいと思っているはずです。また、これだけ労力を使って、職場見学を実施しても、離職率の改善がほとんど見られないという現実もあります。

 私は、就職希望者が少ないこともあって、なんとか、職場見学の日程を組みました。来週から、いよいよ生徒たちとの職場見学が始まります。


プロフィール

Author:進路ルーム
京都の大学で大学・大学院と8年間を過ごし、高校の教師となりました。文系ですが、コンピュータ大好き人間。人間(生徒)に倦むと機械(コンピュータ)が恋しくなり、機械に倦むと人間が恋しくなります。

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